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物流業界の課題。『トラック待機時間』を削減するためには?

2020.02.06お役立ち情報

近年では、トラックドライバーの長時間労働が問題視されており、さまざまなメディアでも頻繁に取り上げられるようになっています。これには、さまざまな要因が考えられます。例えばネット通販での取引が年々増加しているなか、取扱商品の多様化や配送量の増加なども理由のひとつになっています。しかし、さまざまな要因がある中でも、特に問題視されているのが業務中に発生する『荷待ち時間』です。

荷待ち時間とは、「荷主や物流施設の都合によってドライバー側が待機している時間」のことを指しており、この問題はドライバー側がいくら時間短縮を心がけたとしても解決できる問題でもなく、ドライバーの長時間労働の大きな原因となっているのです。この荷待ち時間は長年問題視されているのですが、なかなか解決することができず、こういった劣悪な労働環境は物流を支えるトラックドライバー不足に拍車をかけているとも言われています。
そこで今回は、トラックドライバーの荷待ち時間に焦点をあて、待機時間の発生がどのような弊害を及ぼすのか?また荷待ち時間を解消するためにどのような対策がとられているのかをご紹介します。

トラックドライバーの『荷待ち時間』とは?

引用:厚生労働省『荷待ち時間調査の結果について』より

それではまず、物流業界の『荷待ち時間』の現状を簡単にご紹介しておきましょう。冒頭でご紹介したように、荷待ち時間とは「荷主や物流施設の都合によってドライバー側が待機している時間」のことを指しており、荷物の積み下ろしはもちろん、荷主の指示待ちで待機している時間も含まれています。「荷主の指示待ち」などが要因の場合、ドライバー側でコントロールすることもできませんし、時には上図のように3時間を超えるような荷待ち時間が発生してしまうこともあるのです。

荷主の指示待ちが原因であれば、「荷主側に要請して改善してもらえば良いのでは?」と考えるかもしれませんが、トラック運送業の9割以上が中小企業と言われている業界ということもあり、顧客である荷主に対してあまり強く「荷待ち時間の改善」を要請できないのが現状だと言われています。そのため、トラックは時間通りに到着しているのに、物流施設に他のトラックが列をなして待機しており、当たり前のように長時間の荷待ちが発生するのが現状のようです。
さらに問題とされているのが、こうした荷主側の理由で『荷待ち時間』が発生した場合でも、荷主側から追加料金などが支払われるようなことは一切なく、トラックドライバーの給料に反映されるようなこともないという点です。現在の物流業界では、ドライバーの荷待ち時間を『休憩』扱いとして処理している運送会社も多く、その結果としてサービス残業の温床になり、ドライバーの長時間労働につながる…という悪循環が発生しているのです。本来、荷待ち時間というものは、時間と場所を拘束するものですので、トラックの中にいるだけで運転をしていない場合でも立派な『労働時間』となります。つまり、これを『休憩』という扱いにするのではなく、ドライバーには適切な残業代を支払わなければならないのです。

トラックドライバーの荷待ち時間を改善していくことができれば、ドライバーの長期労働を減らすこともでき、過労死や過労自殺といった悲惨な労働事故も減らすことができると考えられます。特に、ドライバー不足が深刻化している現在では、トラックドライバーの労働環境改善は急務とされており、政府主導で荷待ち時間対策が行われるようになっています。

『荷待ち時間』の記録が義務化された

近年では、トラックドライバーの低賃金・長時間労働などの劣悪な労働環境が求職者にも認識されるようになっており、物流業界では深刻なドライバー不足に陥っていると言われています。もちろん、少子高齢化などで労働人口が減少しているなど、労働環境以外にもさまざまな要因があるのでしょうが、『荷待ち時間』などが要因となる長時間労働の改善は必要でしょう。
そこで現在では、「大型トラック運転手」に関しては「荷待ち時間」の記録が義務づけられるようになっています。

トラックドライバーの業務の実態を把握し、長時間労働等の改善を図るため、荷主の都合により待機した場合、待機場所、到着・出発や荷積み・荷卸しの時間等を乗務記録の記載対象として追加する「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令」を、公布しました。
1.背景
 トラックドライバーの長時間労働の是正のためには、荷待ち時間等の削減を図ることが必要です。このため、荷待ち等の実態を把握し、そのデータを元にトラック事業者と荷主の協力による改善への取り組みを促進するとともに、国としても荷待ち時間を生じさせている荷主に対し勧告等を行うに当たっての判断材料とすることを目的として、貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成2年7月30日運輸省令第21号)に定める乗務記録の内容等を改正することとするものです。
2.概要
(1)乗務等の記録(第8条関係)
  トラックドライバーが車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上のトラックに乗務した場合、ドライバー毎に、
  ・集貨又は配達を行った地点(以下「集貨地点等」という。)
  ・集貨地点等に到着した日時
  ・集貨地点等における荷積み又は荷卸しの開始及び終了の日時 
  等について記録し、1年間保存しなければならない。
(2)適正な取引の確保(第9条の4関係)
  荷主の都合による集荷地点等における待機についても、トラックドライバーの過労運転につながるおそれがあることから、輸送の安全を阻害する行為の一例として加える。
3.今後のスケジュール
 公布日:平成29年 5月31日(水)
 施行日:平成29年 7月 1日(土)
引用:厚生労働省公式サイトより

これは、荷主の都合により30分以上の『荷待ち時間』が発生した際には、乗務記録を記載することを義務付けたものです。こうした記録を積み重ねることにより、荷主側が運送会社やドライバーに過度な要求をしていると判断できる場合、政府が荷主側に勧告や是正指導を行うことができるようになるため、その結果としてトラックドライバーの労働環境が改善できると期待されているのです。

荷待ち時間はテクノロジーで解消できる?

ここまでは、物流業界で深刻な問題とされている『荷待ち時間』の問題点についてご紹介してきました。それでは、荷待ち時間を解消するためには具体的にどのような方法が考えられるのでしょうか?近年では、さまざまなテクノロジーを用いて荷待ち時間解消を目指している事例がありますので、ここでは荷待ち時間解消が期待できるテクノロジーをご紹介します。

バースの予約・受付・誘導のシステム化

物流センターでは、特定の時間にトラックが集中することがあり、ピーク時間帯には荷物の積み下ろしをする『バース』がいっぱいになってしまい、トラックの荷待ち時間が発生する…などと言うことが頻繁に起こります。
こういった状況を解消するために注目されているのが、『バースの予約』システムです。こういったシステムは、常に最新のバース空き状況を確認でき、物流センターに到着する前にバースを予約することで、待ち時間なく積み下ろしができるようになるのです。このシステムを取り入れトラックの荷待ち時間を半減させた事例もあります。

入出荷検品の手間を削減

物流センターなどで積み込みを行う際、入出荷時の検品作業に時間がかかってしまうのもトラックドライバーの荷待ち時間を増やしてしまう大きな要因となります。例えば、検品作業を全て目視で行う場合には、作業時間がかかる上に人為的ミスの可能性もあるでしょう。さらに、人為的ミスを減らす目的などで二重チェックにする物流センターなども存在しますが、時間も人件費も余計にかかってしまうことになります。
こういった入出荷時の検品作業時間を減らす対策として近年注目されているのがハンディーターミナルです。荷物にバーコードやRFIDを取り付けておき、それをハンディターミナルで読み込むことで、経験の浅い人員でも確実かつスムーズに検品作業が進むのです。ハンディーターミナルの導入で検品時間が半減したというケースもあり、荷待ち時間を減らすための対策としては非常に有効と考えられるでしょう。

まとめ

今回は、物流業界で問題となっているトラックドライバーの『荷待ち時間』についてご紹介しました。トラックドライバーは、長距離を運転することになるため、労働時間が長くなってしまうのだ…と考える人が多いのですが、実は物流センターの前などで何時間も待たされるなどの荷待ち時間の影響で拘束時間がどんどん伸びてしまうというのが問題になっています。もちろん、こういった荷待ち時間に関しても『労働時間』として換算され、適切な残業代を支払ってもらえるのであれば、ドライバー側も納得するのでしょうが、あくまで『休憩』とみなされてしまい、「拘束されているのに給料は支払われない…」ということで、トラックドライバーは低賃金・長時間労働などと敬遠されるようになっているのです。

現在、日本の物流を支えるトラックドライバーですが、本当に深刻な人手不足に陥っていると言われています。そのため、安定した人材確保を目指すのであれば、ドライバー側の努力に頼るだけでなく、荷主側もより効率的な入出荷が可能になるようなテクノロジーの導入が必要になるのではないでしょうか?
「どうやって人材を確保しようか?」と考える前に、現状の劣悪な労働環境を改善することがスタートになると考えられます。