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食品保管倉庫の建設をお考えなら。おさえておきたい倉庫の基礎知識

食品保管倉庫の建設をお考えなら。おさえておきたい倉庫の基礎知識

投稿日:2021.03.20 
更新日:2024.03.27 
お役立ち情報

私たちの日常生活を考えると、冷凍食品やレトルト食品など、さまざまな加工食品の存在が今や欠かすことができないものとなっています。日本国内には、人々の生活を支えてくれる食品の製造を担う工場がたくさん存在しています。

各種食品を製造する食品工場では、製造過程に関わる設備などが重要と考えられますが、実は製造設備と同様に原材料の保管や製造した製品を保管するための設備も非常に大切です。食品工場は、人が口にするものを製造する施設ですので、厳しい衛生管理体制が整えられていますが、工場で製造された食品について、その品質を損なわずに保管するためには、食品保管倉庫もさまざまな機能が必要になります。

そこでこの記事では、食品保管倉庫の建設における、おさえておくべきポイントをご紹介していきます。

食品保管倉庫の基礎知識

食品保管倉庫は、その名称から分かるように「食品の保管に特化した倉庫」を指しています。『倉庫』と聞けば、一般住宅の空きスペースなどに設置している「なんでも置いておける場所」をイメージする方も多いかもしれません。例えば、日常的には使用しないキャンプ用品や、自動車の洗車用品、スコップなどの園芸用品などをまとめて保管する倉庫などは、一般住宅にもあると思います。しかし、食品は、さまざまな影響を受け、その品質が低下してしまうものですので、品質を維持したまま長期間保管しようと思えば、衛生面の問題だけでなく、倉庫内の環境にも目を配らなければいけません。特に、温度や湿度の変化に非常に敏感な食品も多く、適切な温度や湿度が保たれていない場所で保管した場合、食品の状態に大きな悪影響を与えてしまうリスクが存在します。

したがって、食品保管倉庫は、保管温度帯によって以下のような区別がされています。

  • 常温倉庫
    倉庫内の温度調節などは行わず、外気温と変わらない温度で保管する倉庫
  • 定温(低温)倉庫
    倉庫内の温度を一定に保つことができる倉庫
  • 冷蔵倉庫
    +10℃以下の低温で保管する倉庫
  • 冷凍倉庫
    冷蔵倉庫の中でも「F級(-20℃以下)」に分類される、特に室内温度が低く保たれている倉庫

それぞれの倉庫の特徴については、弊社が運営する『Fact ism』内の記事をご参照ください。

参考記事:Fact ism「温度別倉庫の違いについて。それぞれの特徴を交えて解説します!

食品保管倉庫建設・設計時の注意点

それでは、食品保管倉庫に求められる機能についても簡単にご紹介しておきましょう。

厳密な温度管理が必要

食品の保管を考えた場合、通常の物流とは異なり、厳密な温度管理が求められます。例えば、常温でも保管可能なレトルト食品もあれば、肉や魚、野菜などの生鮮食品、乳製品や総菜など『要冷蔵』を求められる食品など、製品によって求められる保管条件が全く異なります。

食品の保管は、鮮度の維持と品質劣化の防止が重要で、それぞれの製品に適した温度下での保管が求められます。以下で、簡単にですが保管される食品と食品管理のための温度帯の例をご紹介しておきます。

  • 飲料、菓子、缶詰、酒類、食用油など・・・10℃以下
  • 紙パック飲料、肉類、魚、野菜、加工食品、乳製品など・・・-20℃未満~10℃以下(チルド)
  • 冷凍食品、アイスクリーム・・・-20℃以下(フローズン)

※上記はあくまでも一例です。実際には、商品ごとに適切な温度帯が規定されており、それを守る必要があります。

このように、食品を保管する場合には、鮮度の維持と品質の劣化を防止するため、食品に適した保管温度帯を守ることができる機能が必要になります。なお、生鮮食品や冷凍食品などに関しては、生産から消費段階まで、一貫して『低温、冷蔵、冷凍』の状態を保つことが求められます。こういった低温状態を管理しながら流通させる仕組みが『コールドチェーン』と呼ばれます。

衛生管理体制について

食品保管時についても、異物混入防止対策が必要不可欠です。したがって、衛生面や施設のセキュリティ面に注意しなければいけません。
食品への意図しない異物混入を防ぐためには、施設の衛生管理体制の徹底が必要です。特に、原材料や人に付着した昆虫やホコリなどが異物混入の原因となることが多いため、その対策が非常に重要です。例えば、作業場所入口へのエアシャワーの設置、防虫・防鼠対策など、施設自体に施す対策に加えて、専用の作業着・帽子などの支給、手洗い・消毒ルールの徹底など、作業する人への対策も大切です。

また、意外に見落とされがちなのが、「意図的な異物混入対策」です。食品への意図的な異物混入を防ぐためには、施設のセキュリティ面の強化も大切です。例えば、倉庫内外への防犯カメラの設置、外周フェンスなどを設置して部外者の入場を制限する、車両の入退出管理や従業員の入退出管理などが考えられます。

必要な設備の設置

上述したように、食品の保管においては、「倉庫内の温度管理の徹底」が非常に重要です。
しかし、倉庫は一時的に物品を保管する場所と言う特性上、荷物の搬入・搬出が頻繁に行われる場所になります。したがって、倉庫のドアが頻繁に開閉することで、倉庫内の温度管理が難しくなる…と言う点にも留意しておかなければいけません。特に、生鮮食品を保管する場合、適切な温度管理ができていない…、頻繁に外気にさらされる…などと言った状態になってしまうと、品質の劣化が早くなる危険があります。

つまり、「適切な温度管理が必要」な食品保管倉庫においては、他の物流倉庫が必要としない特殊な設備が求められるわけです。例えば、『ドックシェルター』と呼ばれる、搬入口・搬出口に車両の荷台を連結することができる特殊なドアや、エアカーテンなど、倉庫内の温度に一定に保ちやすくなる特殊な設備が必要になると考えておきましょう。

他には、大規模災害による停電に備えて、非常用電源装置などの設備も必要でしょう。何の停電対策もない状態では、万一の際に温度管理ができなくなり、食品が全てダメになってしまう…なんて恐れがあるからです。

まとめ

今回は、食品保管倉庫の建設を考えている企業様のため、食品保管倉庫に求められる機能などを簡単にご紹介してきました。人が口にする食品を保管するわけですので、食品の鮮度や品質を維持するための温度管理は、絶対条件と言えるでしょう。もちろんん、保管する食品によって、最適な温度帯なども異なりますので、どいった食品の保管を考えているのかによって、必要な機能は変わってしまいます。しかし、この記事でご紹介したような機能については、食品保管倉庫の最低条件と考えなければいけないと思います。

食品の種類ごとに適切な保管条件は全く異なるからこそ、保管物品に最適な食品保管倉庫を作ることが重要だと考えておきましょう。

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