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食品倉庫の新設について。食品物流業界で注目される冷凍自動倉庫とは?

食品倉庫の新設について。食品物流業界で注目される冷凍自動倉庫とは?

投稿日:2022.09.13 
更新日:2024.03.19 
お役立ち情報

インターネットで食品を購入するのが当たり前になった現在では、安全に食品を保管することが可能な温度管理倉庫が無くてはならない存在になっています。特に、冷凍食品市場が急速に拡大する中では、超低温状態を維持しなければならないことから、冷凍倉庫の存在感が年々増していると言われています。実際に、経済産業省が公表したデータを見ても、「冷凍調理食品」の製造品出荷額は増加傾向となっています。

引用:経済産業省「冷凍食品の動向」より

コロナ問題以降、一般家庭での冷凍食品需要がさらに高まっていると言われていますし、冷凍倉庫の重要性は今後ますます高まっていくのではないでしょうか?ただし、冷凍倉庫は、保管する食品の品質を守るため、超低温状態を保っていなくてはならないことから、人が作業することを考えると、非常に過酷な現場と考えられ、人の手による作業の効率は決して良いとは言えないのが現状です。

そこで、冷凍倉庫業界で注目されているのが、冷凍倉庫内での作業の自動化・無人化を進めることによる作業効率の向上です。そこでこの記事では、今後ますます冷凍食品需要が拡大していくと予想されている中、倉庫内作業の効率化を実現できると言われている『冷凍自動倉庫』の基礎知識をまとめてみたいと思います。
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冷凍自動倉庫とは?

それではまず、冷凍自動倉庫がどういったもので、なぜ今、冷凍自動倉庫が必要とされているのかを簡単にご紹介しておきましょう。

冷凍自動倉庫は、その名称からもイメージできるように、冷凍環境にも対応して、業務の自動化・最適化を実現することができる技術が導入された自動倉庫のことを指しています。通常の自動倉庫との違いは、冷凍自動倉庫の場合、基本的にマイナス20℃以下で製品の保管を行う施設という点です。なお、商品の特性に合わせて『+10℃以下の低温で保管する施設』は、一般的に冷蔵倉庫に分類されるのですが、冷蔵倉庫にも、保管温度帯による区分が存在しています。保管温度帯による区分については、大きく分けると「+10℃以下~-20℃未満」が保管温度帯の倉庫を『チルド級(C級)』と呼び、保管温度帯が「-20℃以下」の倉庫が『フローズン(F級)』となり、分かりやすいように冷凍倉庫と呼ばれます。

そして、倉庫内の温度が常にマイナス20℃以下に保たれている冷凍倉庫は、人にとって非常に厳しい条件となりますので、さまざまな課題が山積しています。例えば、多くの業界で人手不足が問題視されていますが、冷凍倉庫業界は、他の倉庫と比較しても過酷な環境下での作業となることから、より人手不足が深刻化していると言われています。実際に、ネットでの食品購入の流れが加速していることや、コロナ問題により一般家庭での冷凍食品需要が高くなっているなどと言ったことから、冷凍倉庫の必要性は年々増しており、人による冷凍倉庫内での作業では既に限界が来ているとまで言われています。

そこで、こういった問題を解決するために注目されているのが、冷凍倉庫の自動化です。冷凍自動倉庫の導入は、過酷な環境下での作業や人手不足などの課題を解決できますし、荷物の搬入・搬出時に冷気ロスが少なくなることから、電力消費量の削減なども期待することができます。
冒頭でご紹介したように、食品のネット購入や冷凍食品の需要は、今後もますます増加していくと予想できますので、冷凍倉庫の作業効率向上や運用コストダウンのため、冷凍自動倉庫の需要も高まっていくのではないでしょうか。

参考:Fact ism「冷蔵倉庫の基礎知識。冷蔵保管と冷凍保管の区分をおさえておこう

冷凍自動倉庫が注目される理由は?

近年、温度管理が可能な倉庫の需要が高まっていますが、その中でも冷凍自動倉庫の需要が急速に拡大していると言われています。それでは、なぜここまで冷凍自動倉庫が注目されているのでしょうか?ここでは、冷凍自動倉庫の需要が高まっている要因について簡単に解説しておきます。

  • インターネットを介した食品購入の急増
    一つ目は、食品をインターネットを介して購入する人が急増しているというものです。服やアクセサリーなど、現物を見ないとなかなか購入の決心が付かない製品もありますが、ほとんどの方はECサイトで食品を購入することに抵抗を持たなくなっています。さらに、コロナ問題発生以降は、外出自粛が求められたこともあり、以前のように気軽に旅行などにいけなくなっています。そのため、少しでも旅行気分を味わいたいと、距離が離れた場所の食品をインターネットで探し、購入する人が増加していると言われています。新型コロナウイルスの影響は、人々の行動に大きな影響を与え、ネットでの食品購入を加速させており、その結果、冷凍倉庫の需要が高くなっているわけです。
  • 人手不足の解消
    ネットでの食品購入の増加により、冷凍倉庫の需要は高まっているものの、倉庫内の作業を担う人員の不足に頭を悩ませる企業は多いです。上述しているように、冷凍倉庫は、非常に過酷な作業現場ですので、人員募集をかけたとしても、なかなか人が集まらないという問題を抱えています。さらに、何とか人を採用したとしても、業務に慣れるまでには多くの時間とコストを費やしてしまいます。冷凍自動倉庫は、倉庫内作業を自動化させる技術ですので、人員をあまり必要とせず、業務の効率化も実現することができます。もちろん、倉庫の自動化には多額の初期コストがかかりますが、ランニングコストを大幅に削減することが期待できますので、中長期的な視点から、多くの企業に注目されるようになっています。

冷凍自動倉庫のメリットとデメリット?

それでは最後に、食品物流業界で注目される冷凍自動倉庫について、実際に導入した場合のメリットとデメリットを簡単にご紹介しておきましょう。デメリット面については、非常にわかりやすく、自動倉庫システムを導入するために多額のコストがかかってしまう点です。これは、倉庫を新設する場合でも、リニューアルする場合でも同じで、一般的な倉庫と比較すると、さまざまな最新設備を導入しなければならない分、どうしてもイニシャルコストがかかってしまいます。

ただ、以下のようなメリットがありますし、中長期的に見ると費用対効果が高いと考えられますので、導入の価値を感じる事業者様が多くなっています。

  • スペースの最適化
    自動倉庫システムを導入することで、人が作業するスペースや「人の手が届くか?」と言ったことを気にしなくて良くなるのが大きなメリットです。要は、倉庫の保管スペースについて、高層化することも可能で、天井付近のデッドスペースを削減することができるなど、倉庫全体のスペースを有効活用することができるようになります。そのため、従来の冷凍倉庫よりも収納量を増加させることが可能になるでしょう。
  • 過酷な環境下での労働を削減
    従来の冷凍倉庫であれば、少しの確認でも冷凍倉庫内に人が入らなければいけません。上述しているように、冷凍倉庫内はマイナス20℃以下に保たれていますので、少しの時間でも作業員にとっては相当な負担になります。また、倉庫内と外との温度差が非常に大きいので、環境に慣れていない新人の間は体調を悪くしてしまう人も少なくないと言われています。冷凍倉庫は、作業のつらさとはまた違う部分のつらさが存在しており、早期退職を選ぶ人員も多いと言われています。これが自動倉庫システムを導入することで、過酷な環境となる倉庫内に人が立ち入ることがなくなります。倉庫作業員は、基本的に倉庫外で作業を行うことができるので、作業員の負担が大幅に軽減できます。また、倉庫内に人が立ち入らなくなることで、衛生面の不安要素が一つなくなり、品質向上も期待できるという点がメリットです。
  • 作業の効率化
    冷凍倉庫内で人が作業する場合、過酷な環境であることから、どうしても作業効率が低くなってしまいます。例えば、温度の低さに耐えられるよう、作業員は防寒着を着用しますが、その場合はどうしても動きにくくなってしまうので、一つ一つの作業に時間がかかってしまいます。これが冷凍自動倉庫の場合、入荷から出荷までの作業をロボットが行いますので、スピーディでミスもなく作業が完了します。これは、冷凍倉庫に限りませんが、自動倉庫システム導入の目的は、倉庫内作業の効率化を考えているものが多いです。

この他にも、冷凍倉庫への人の出入りがなくなることから、冷気ロスが少なくなり、商品の品質を守りやすくなる、省エネが実現できるなどのメリットがあります。

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まとめ

今回は、食品のネット購入増加や、冷凍食品業界の躍進によって、急速に需要が高まっていると言われている冷凍自動倉庫について解説してきました。

共働き世帯が増えている現代では、手軽で便利な冷凍食品の需要が年々高くなっています。実際に、コンビニなどでも冷凍食品の種類が急増していますし、一昔前の冷凍食品と比較すると、その味も劇的に良くなっていると感じる方が多いのではないでしょうか?

ただ、多くの人が日常的に冷凍食品を口にするようになっている裏では、冷凍倉庫業界にさまざまな課題を生み出すようになっています。この記事でご紹介したように、他の倉庫と比較すると、作業員にとって過酷な現場となる冷凍倉庫では、慢性的な人手不足を抱えています。そのため、冷凍食品市場を支えるためにも、冷凍自動倉庫の需要は、今後もさらに高まっていくと考えられるのではないでしょうか?

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