建築費指数グラフでみる倉庫(用途別・構想別)の物価上昇推移

建築費指数グラフでみる倉庫(用途別・構想別)の物価上昇推移

投稿日:2024.08.05  お役立ち情報

昨今、電気やガスなどのエネルギーや食品などの値上げに関する報道が盛んに行われている影響もあり、日常生活で物価高を実感する機会が増えています。

物価の高騰は、建設分野も例外ではありません。原材料不足やエネルギー価格の高騰、人件費の高騰などに起因して建設費の高騰も進んでいます。特に建設分野は、見積から一定の検討期間が発生し、その後に受注の確定が行われ、契約および材料の購入、外部委託の発注といった流れで進めます。

近年は、この間に物価が高騰し見積り時点の予算と、着工時に実際に必要な予算に乖離が生じ、計画自体を調整または停止せざるを得ない状況が起きている点が課題となっています。

施主としては見積時の予算で事業計画を進めていることがほとんどですから、その予算で進めて欲しいに決まっています。そして、請け負う建設会社も各社努力を重ねていることでしょう。

しかし、実際にかかる費用を無理に削減してしまうと、思わぬ不備や事故につながる可能性があるため、両社で適正な価格で契約を進める必要があります。

その一つの指標として、建設業界では価格の高騰などを考慮した適切な契約額の確定を目的としたパンフレットが、業界団体より公開されています。

この記事では、RiSOKOの専門分野である倉庫建設に関する建築費指数グラフや一般社団法人日本建設業連合会が公開した資料をもとに、建設関連の物価上昇推移やその原因などについて解説します。

倉庫の機能や規模に加え使用する資材によって実際の建設費用は大きく変動しますが、物価推移の参考としてご確認ください。

 

建築費指数でみる倉庫の物価上昇推移

以下は、一般社団法人建築物価調査会のWebサイトを利用して作成した「倉庫 S造(大阪)」の建築費指数の推移を表すグラフです。

建築費指数 例

引用:一般社団法人建築物価調査会サイトより

上のグラフを見ると、倉庫の建築費指数は、2021年1月以降急激に上昇しています。一般社団法人日本建設業連合会が公開したパンフレットでも、2021年1月から2024年6月の僅か40か月間で、建設資材の高騰・労務費の上昇などの影響により、仮設費・経費などを含めた全建設コスト(平均)は、20~23%上昇しているとされています。
 

【2024年6月】建設資材や労務費の現状について

一般社団法人日本建設業連合会が公開した「建設工事を発注する民間事業者・施主の皆様に対するお願い」というパンフレットの中で、2024年6月現在における建設業界の価格高騰に関する分かりやすいデータが紹介されています。ここでは、倉庫建設の物価上昇推移を把握するためにもおさえておきたい情報をピックアップしてご紹介します。

 

建設資材高騰の現状について

建設資材高騰指数の推移
引用:一般社団法人日本建設業連合会パンフレットより

上の図から分かるように、建設資材物価指数は、2021年1月のコロナ禍と比較すると、わずか40か月間で31%もの上昇をみせています。建設資材の価格は、世界的な原材料及び原油などのエネルギー不足や価格高騰、円安の影響を受け、急激に高騰しています。各建設資材の価格高騰率についてもパンフレット内で紹介されていますので、いくつかピックアップしてご紹介します。

  • 異形棒鋼(SD345 D19 2.25kg/m JIS G 3112):70%UP
  • H形鋼(SS400 300x300x10x15):64%UP
  • 鋼板 中厚板(SPHC又は無規格品)16~25×1,524×6,096:80%UP
  • フラットデッキ(630×75×1.2 めっきZ12):41%UP
  • 鋼矢板(SY295 U形):42%UP
  • 板ガラス(フロート板ガラス FL5 2.18㎡以下):74%UP
  • 配管用炭素鋼 鋼管(ガス管 白ねじなし 50A 4m):57%UP

上記のように、建設資材それぞれでみても、2021年1月〜2024年6月までの間に急激な価格高騰が進んでいることがわかります。

 

労務費上昇の現状について

建築費の上昇は、建設資材の価格高騰だけでなく、建設現場で働く建設技能労働者の賃金上昇も関係しています。
公共工事設計
引用:一般社団法人日本建設業連合会パンフレットより

全国の労働市場の実勢価格をもとに毎年政府が決定する「公共工事設計労務単価」は、2020年以降、徐々に引き上げられており、ここ3年の間に16%も上昇しています。さらに、2021年度以降、政府と建設業界団体で毎年行っている賃金上昇の申し合わせにて、2024年度は前年度比5%を十分に上回る賃上げが要請されています。

建設業界では、政府の賃上げの方針や労務単価の引き上げなどが、建築費の上昇に大きく影響していると考えられます。実際に、一般社団法人日本建設業連合会が公開しているパンフレットでは、建設コストの上昇について、以下のように指摘しています。

材料費割合を50~60%、労務費率30%と仮定すると、この40か月で、建設資材の高騰・労務費の上昇の影響により、仮設費・経費などを含めた全建設コスト(平均)は、20~23%上昇※(土木分野21~24%上昇、建築分野20~24%上昇)
※ 例えば100億円の建設工事では、労務費+原材料費80〜90億円が100〜113億円に上昇。ほとんどの工事について、2021年1月当時の契約金額相当額を、「労務費+原材料費」のみで上回る状況となっています。
引用:一般社団法人日本建設業連合会パンフレットより

 

建設業界の価格高騰は今後どうなる?

それでは最後に、建築費や建設資材の価格高騰について、今後はどのように推移しそうなのかその展望についても解説します。

 

建築費・建設資材の価格高騰がいつまで続くのか?

昨今の建築費・建設資材の価格高騰は、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生しているため、即座に解決できるものではない…という見方が強いです。

例えば、エネルギー価格の高騰などは、ウクライナ危機やパレスチナ問題、さらに円安の影響など、国際的な要因が含まれているため、日本単独で解決することは難しいです。したがって、建築費や建設資材の価格は、高止まりもしくは今後もさらに上昇するという予測をする専門家がほとんどです。

建設業界では、昨今の物価高騰に対応するため、需要と供給の調整が進められています。例えば、建築資材の代替品の確保や供給網の多様化などの対策が進められています。

この他にも、物流や生産プロセスの最適化など、他業界の協力も得ながら、需要と供給のバランス調整を急いでいます。また、建築資材の価格上昇の抑制や安定供給に関しては、政府が政治的な介入を検討しているとも言われています。例えば、建築資材の輸入規制の見直しや国内生産の促進などの検討が行われています。

しかし、即効性があるものではありませんので、建築費や建設資材価格が安定化するには、まだまだ時間がかかると考えるべきでしょう。

参照資料:建設工事を発注する民間事業者・施主の皆様に対するお願い(2024年6月版)
参照資料:建築費指数(主要10都市)グラフ

 

まとめ

今回は、建築物価調査会や日本建設業連合会のデータをもとに、倉庫建設など建設業界を取り巻く価格高騰の現状をご紹介しました。

実際の現場でも資材価格高騰に加えて、人件費の高騰やエネルギー価格の高騰などにより、倉庫建設の見積りをとった場合には、コロナ以前と比較すると、1.5〜2倍の見積り価格が提示されることも珍しくありません。

建築費や資材価格高騰の現状をみると、倉庫の建設計画があったとしても、物価が下落するのを待つために計画そのものを遅らせた方が良いのではないかと判断される方が多いのではないでしょうか?しかし、上述したように、今後も建築費、建設資材費の価格は上昇傾向を続けると予想されています。

また、倉庫などの営業施設は、破損や老朽化により、既に操業の限界を迎えてしまい、早期の対応が迫られているという事業者様も少なくありません。

その際に重要な課題となるポイントが、倉庫を建設するための現実的なコスト調整です。倉庫建設の実績が豊富なRiSOKOでは、企業が実現したい未来に向けて、無理と無駄のないジャストスペックを提案します。

数年前にとった見積の高騰にお困りの企業様は、ぜひ三和建設のRiSOKOにご相談ください。豊富な実績で得たノウハウから削減できるポイントが見つかるかもしれません。少なくとも、相見積もりをすることで、現在お手元にある見積の値上げが適正かどうかも判断しやすくなります。

こちらから倉庫建設専門ブランドRiSOKOの課題解決事例をダウンロードいただけます。

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