危険物倉庫にバーコードリーダー・IoT機器の持ち込みはNG?守るべき防爆と運用ルール
投稿日:2026.02.02 お役立ち情報
危険物倉庫は、消防法によって定められている危険物を保管するための施設です。ここで言う「危険物」とは、『通常の状態で保管・放置しておくと、引火性・発火性があり、火災や爆発、中毒などの災害につながる危険がある物質』のことを指しています。そのため、引火性や発火性のある危険物を取り扱う施設は、電子機器の火花や静電気、発熱などが原因で、火災や爆発が起こる可能性があるわけです。
日本では、さまざまな法律によって可燃性物質などの濃度によって危険場所が定められており、危険場所の中では一般的な電子機器を使用することができないことになっています。一般的な倉庫で当たり前に使用されているバーコードリーダーやタブレットなどのIoT機器などに関しても、危険物倉庫内への持ち込みは厳しいルールが設けられているわけです。ただ、さまざまな場所でデジタル化が進む昨今では、作業員の安全確認や作業の効率化のため、危険場所でもIoT機器を持ち込みたいという需要が高まっています。
そこでこの記事では、危険物倉庫でのIoT機器の持ち込みルールについて、危険場所でも安全に使用するための仕組みや、最新のルール変更について解説します。
Contents
危険物倉庫へのIoT機器持ち込みに関する基本原則
それではまず、危険物倉庫へバーコードリーダーやタブレットなどのIoT機器を持ち込む場合の基本原則について解説します。
昨今では、人手不足の解消や作業効率の向上などを目的に、倉庫内での作業においてはIoT機器が欠かせない存在になっています。一般的な物流倉庫では、入荷から出荷までの一連の業務を一元管理できるようにさまざまなシステムが導入されており、それを支えるための設備として多様な電子機器が利用されています。
しかし、危険物倉庫においては、電子機器の火花や静電気、発熱が原因となって火災や爆発が起こる可能性があるため、一般的な倉庫と同じような方法で電子機器を使用することができないことになっています。危険物倉庫など、危険場所で電子機器を使用する場合、その機器が火災や爆発の点火源となることを防止するため、「防爆構造を有する」ということが基本原則となっています。防爆電子機器は、さまざまな手法・アプローチにより、爆発を防止するための対策が施されていて、危険物倉庫などの危険場所でも安全に使用することができるようになっています。
危険物倉庫にIoT機器を持ち込む基本的な方法
危険物倉庫の中は、可燃性蒸気などが滞留する可能性があるため、非防爆機器の僅かな火花によって引火、爆発の危険性があります。そのため、バーコードリーダーやタブレットなどの電子機器を持ち込む場合には、防爆構造の機器を使用することが基本原則とされています。
なお、危険物倉庫の中に持ち込む防爆構造の機器については、以下の2つのパターンがあります。
- 防爆構造のIoT機器を購入する
バーコードリーダーやハンディターミナル、タブレットなどのIoT機器は、危険物倉庫の中など、危険場所での使用を想定した防爆仕様の製品が開発されています。このタイプの製品であれば、危険場所に持ち込み、使用することができます。機器そのものが防爆仕様になっている場合、購入すればそのまま危険場所で使用することができる点がメリットです。ただ、防爆仕様の機器は、特殊な防爆構造のケースに入っていて簡単に開けることが出来ない仕組みとなっているため、故障した場合に機器本体を修理するのに時間がかかります。そのため、故障のことを想定すると、予備の機器を用意しておかなければならない点などがデメリットと言えます。 - 防爆構造のケースに入れる
通常のタブレットなどを使用する場合は、防爆構造のケースを別途購入し、それを装着することで危険場所に持ち込めるようになります。メリットとしては、防爆機器の導入コストを抑えられる点でしょう。ただ、防爆構造のケースの利用については、どのような機器でも装着できるわけではない点に注意が必要です。防爆ケースは、端末に日本の防爆規格の認証を受けたケースを装着して、その状態で個別の検査を受けて合格した組み合わせでなければ危険場所での使用ができない決まりになっています。そのため、ケースの着脱が可能とは言え、自由に端末を入れ替えできるといった利便性はありません。また、現状は日本の防爆規格の認証を受けている製品が少ない点も注意が必要です。防爆構造のケースを使用する場合は、そもそも日本の危険場所で利用できる製品なのかを慎重に確認する必要があります。
危険物倉庫への電子機器の持ち込みに関しては、原則として上記のような防爆構造であることが条件となっています。
条件をクリアすることで非防爆の電子機器も持ち込み可能
前項でご紹介した通り、危険物倉庫内へのIoT機器の持ち込みに関しては、「防爆構造の機器の使用」が基本原則となっています。
しかし、冒頭でもご紹介した通り、昨今では人手不足への対応や作業効率の向上、作業者の安全確認などを目的に、危険場所への電子機器の持ち込み需要が年々高まっていて、業界団体などからも危険場所におけるIoT機器の普及促進に向けた提言などが行われています。
そして、危険物倉庫へのIoT機器の持ち込みに関しては、いくつかの条件をクリアすることで防爆構造でなくてもOKという通達が出ています。そこでここでは、令和6年3月に出された総務省消防庁による「屋内貯蔵所において電気機械器具等を使用する場合の運用について」の内容を抜粋して紹介します。
総務省消防庁による通達の中身
危険物倉庫内への電子機器の持ち込みに関する原則と今回出される通達の目的については、以下のように解説されています。
IoT 機器等が火花を発生する機械器具等に該当する場合は、危険物の規制に関する政令(昭和 34 年政令第 306 号。以下「政令」という。)第 24 条第 13 号に規定する「可燃性の液体、可燃性の蒸気若しくは可燃性のガスがもれ、若しくは滞留するおそれのある場所又は可燃性の微粉が著しく浮遊するおそれのある場所」では使用できないこととされています。
今般、「危険物施設におけるスマート保安等に係る調査検討会」における検討結果を踏まえ、屋内貯蔵所において電気機械器具等を使用する場合の留意事項等について下記のとおりとりまとめました
引用:総務省消防庁資料より
今回の通達の内容に関しては、以下の通りです。
1.屋内貯蔵所における IoT 機器等の使用にあたっての留意事項等について
(1)次の要件に適合する屋内貯蔵所の内部については、政令第 24 条第 13 号に規定する「可燃性の液体、可燃性の蒸気若しくは可燃性のガスがもれ、若しくは滞留するおそれのある場所又は可燃性の微粉が著しく浮遊するおそれのある場所」に該当しないものと取り扱うこととして、差し支えないこと。
ア 屋内貯蔵所において、貯蔵に伴う少量の危険物の詰替え、小分け行為、混合等の取り扱いが行われていないこと。
イ 政令第 10 条第1項第 12 号に規定する「危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な換気のための設備」が正常に稼働していること。また、引火点が 70 度未満の危険物の貯蔵倉庫にあっては、同号に規定する「内部に滞留した可燃性の蒸気を屋根上に排出する設備」が正常に稼働していること。
(2)(1)の要件に適合する屋内貯蔵所において、固定式でない非防爆構造の電気機械器具等を使用する場合は、防爆構造の可燃性ガス検知機を常時稼働させ、安全を確認すること。
(3)屋内貯蔵所内で危険物の漏えい事故等が発生した場合には、固定式でない非防爆構造の電気機械器具等の使用を直ちに停止し、電源を遮断するとともに、屋内貯蔵所の外へ退避し、安全が確認されるまでの間は、屋内貯蔵所内で当該電気機械器具等を使用しないこと。
(4)消防機関においては、(1)から(3)の運用が確保されていることを資料等により確認されたいこと。
引用:総務省消防庁資料より
上記の通り、IoT機器の持ち込みを想定している施設の危険度を事前に確認したうえ、防爆構造の可燃性ガス検知機によって常時安全確認を実施することを前提として、危険物倉庫内への非防爆構造の電子機器の持ち込みが認められるとなっています。
ただ、「消防機関においては、(1)から(3)の運用が確保されていることを資料等により確認されたいこと」とある通り、消防署への事前相談や確認(場合によっては資料提出)が必要になります。
まとめ
今回は、危険物倉庫におけるバーコードリーダーやタブレットといったIoT機器の運用ルールについて解説しました。
記事内でご紹介した通り、危険物倉庫内での電子機器利用は、原則として防爆構造であることが条件とされています。しかし、DX化が進む現代において、危険場所での作業効率と安全性を両立させるために、一定の条件を満たすことで非防爆機器の持ち込みが可能になるなど、運用の柔軟性は高まりつつあります。
とはいえ、危険物倉庫は消防法に基づいた非常に厳格な基準で管理される施設です。IoT機器を活用した効率的なオペレーションを実現するためには、機器の選定だけでなく、「運用ルールに適合した動線設計」や「安全な通信環境の構築」など、施設側の設計も重要になります。
三和建設の「RiSOKO」では、危険物倉庫の建設実績が豊富にございます。最新の法規制を遵守しながら、お客様の運用フローに最適な倉庫建設をご提案いたします。危険物倉庫の建設や、IoT活用を見据えたリニューアルをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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