FOOD
では、建設計画を立てるための基本的な検討事項をみていきましょう。
食品物流センターの基本条件5つ
01稼働時間をクリア
食品物流センターは24時間体制で稼働することが重要です。近隣に民家があったら、夜間の騒音や振動がトラブルに発展する可能性がありますので、食品物流センターを建てる前に周りの環境を確認しましょう。
02トラックの待機場所を確保
食品物流センターならトラックの利用は不可欠ですので、事前にトラックの台数を確認しトラックの待機場所を確保しましょう。 ※繫忙期にはトラックの利用がさらに増えますので、そちらも踏まえて計画しましょう。
03土地の法規制を確認
食品物流センターを建てる前に、土地の法規制を確認しましょう。用途指定や容積率などの確認は必須となります。 後々、事業を拡張したい場合に法令が妨げとなる可能性があるため注意しましょう。
04BCP対策を確保
近年、BCP(事業継続計画)という考え方が浸透してきました。食品物流センターなどセンターを建てる前に、自然災害の可能性や災害時の事業継続性を踏まえて計画しましょう。
05十分な人員を確保
必要な人員が確保できないままでは流通センターは稼働できないため、食品物流センター内で業務を行う従業員やドライバーなど、業務に関わる必要な人員を確保できるか確認しましょう。
医薬品物流センター建設計画時の留意点
01GMP
GMPは「Good Manufacturing Practice」の略称で、医薬品の製造管理及び品質管理の基準のことです。日本だけでなく、諸外国の製造業者や製造販売業者に求められる要件となります。
02GDP
GDPとは、「Good Distribution Practice」の略称で、医薬品の適正流通と言います。GDPは医薬品が製造工場から出荷された後、医療機関や薬局に届くまでの流通過程における品質を保証する基準です。
03衛生管理
衛生管理とは、職場や製造環境を清潔にして労働者や消費者の安全を守るために必要な措置です。医薬品の製造所において品質方針及び品質目標を周知することや製造・品質管理の措置を取る必要があります。
04倉庫管理システム WMS
倉庫管理システムWMSとは、Warehouse Management Systemの略称で倉庫内の業務をサポートするシステムです。WMSによって、倉庫内の在庫情報を一元管理でき、業務の効率化やコスト削減を実現可能です。
05レイアウト設計
レイアウト設計とは設備、材料、部品、仕掛品などの配置および人やモノの動線を設計することです。適切なレイアウト設計によって、倉庫内の作業の効率化・人件費の削減・商品の保管効率を図ります。
Temperature control
食品物流センターの温度管理
冷凍については、グレードがあるのでそれに対応した基準がわかり易く区分されているので、表に準拠する形で問題ないでしょう。冷蔵については、微妙なコントロールが必要になってきますので、冷蔵庫の機能性だけではなく、物流業務の作業時間や導線などを考慮して計画を立てることも必要です。低温なのか?定温なのか? 言葉のニュアンスとは裏腹に、正確な温度把握が必要となります。一般的にはこの温度を保つ、上限を超えなければいいと思われがちですが、日本の気象条件は温度帯が広く地域性を加味したシミュレーションが要求されます。
主な商材による温度管理区分
温度範囲 | 管理区分 | 食品 | 医薬品 | |||||||
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四温度帯 | 定温 | 10~20℃の範囲で定温 | ||||||||
三温度帯 | 常温 | 10~15℃ | 散剤、錠剤、カプセル、目薬、シロップなどの一般的な医薬品 | |||||||
冷蔵 | -5~5℃ | チルド | -5~5℃ | 乳製品・精肉など | 点滴、注射薬など | |||||
氷温 | -3~0℃ | 鮮魚・漬物など | ||||||||
パーシャル | -3℃ | 一部精肉・鮮魚・刺身 | ||||||||
冷凍 | -15℃以下 | C1級 | -20~-10℃ | パン生地・調理用冷凍食品など | ||||||
F1級 | -30~-20℃ | 冷凍畜産物・アイスクリーム類 | ||||||||
F2級 | -40~-30℃ | 凍結魚・凍結肉 | ||||||||
F3級 | -50~-40℃ | 冷凍カツオ | ||||||||
F4級 | -50℃以下 | 冷凍マグロ | 血清 |
※ワクチンは種類によって10℃以下~-80℃などの違いがあり。
温度管理の3つのポイント
POINT
冷凍倉庫・冷蔵倉庫建設のポイント
結露対策
冷凍倉庫においても結露は重要です。結露するということは余分な水分や温度管理が行き届いていないことになります。様々な要因をシミュレーションをして結露対策を施す必要があります。 空気は目に見えないものなので、的確な要因の抽出ができるかどうかは類似用途施設の設計実績の有無が大きく影響します。
設備と断熱仕様の決定結露対策
温度条件やオペレーションの確認により、設備や断熱仕様の決定となります。 物流センターは完成からが本番となりますので、日常のメンテナンスや将来的な設備更新など維持管理の最適化まで考慮して設備や断熱仕様を決定する必要があります。
省エネ化
冷蔵・冷凍倉庫では、電力消費をいかに抑えるかの工夫が重要です。断熱仕様の検討だけでなく、いかに外気の侵入を防ぐか、扉やシャッターなど構造からの対策が求められます。
Temperature control
食品物流センターの物流機能
意外と軽視されがちなのが衛生面です。最近では物流センターでも食品であればFSSC22000などの食品安全(HACCP)認証の取得をしたり、医薬品であればGDP基準に即した計画が求められたりと衛生面に対する意識が年々と高まってきています。
合わせてプロセスセンター(流通加工)としての機能も同時に考えましょう。なるべく温度変化させないためにも移動を最小限と考えると現地で加工した方が効率的なので、せっかく倉庫を建てるのであればとことん効率化を追求する必要があるでしょう。これからの時代、自動ラックやAGVなどの導入や将来対応も視野に入れた計画が必要となります。
Temperature control
食品物流センター建設を依頼する建設会社
倉庫だけであれば、安く建てることができる建設会社はたくさんあります。
また、冷凍庫や冷蔵庫などの設備を専門とするエンジニアリング会社の一部で建築を請け負うこともありますが、「温度管理のノウハウ」「衛生管理のノウハウ」「物流機能のノウハウ」といった様々な知識が必要となるので、どのような実績があるのか、どのようなアドバイスをもらえるのか、提案時によく確認することが重要です。
食品物流センター 施工実績