倉庫・工場の寿命とは?寿命をのばすには適切な修繕が必要!
投稿日:2019.09.16
更新日:2022.12.22
お役立ち情報
今回は、倉庫や工場に必要不可欠な建物の修繕について解説していきます。倉庫や工場などの事業用物件は、一般住宅などと異なり外観の美しさなど、あまり気にしないオーナー様が多いのではないでしょうか?そもそも一般住宅とは用途が全く違い、自社の事業を運営するために不都合がないのであれば、建物を建てた時の状態をそのまま放置していても問題ないと考える方が多いかもしれません。そのため、経年劣化などで表面化する些細な改善や修復などは、その必要性は感じているけれど二の次にしてしまう場合も少なくないでしょう。当然、建物の修繕工事を進めるにはそれなりのコストがかかってしまいますので、コスト的な問題で修繕を後回しにしてしまうことも考えられます。
しかし、お客様の大切な商品を製造・保管する施設において、必要な修繕を怠ってしまうと、もしもの時に重大な被害が発生してしまう危険性もあります。工場や倉庫などの建築物は、どのような建物だとしても経年劣化してしまうものですので、劣化を避けることはできず、建物の状態を維持するためには、いずれ何らかの修繕工事が必要になるのです。
そこで今回は、工場や倉庫をより長く使用するため、どのような修繕が必要になるのか?ということについて解説していきます。ぜひこの記事を読んで、中長期的な建物の修繕計画を立ててみてはいかがでしょうか。
Contents
倉庫・工場の寿命
倉庫や工場など建物の寿命を考えるときには「耐用年数」が一つの目安になります。耐用年数には法的耐用年数、経済的耐用年数、物理的耐用年数の3つがあります。
・法的耐用年数
法的耐用年数とは国税庁が定めた減価償却資産の耐用年数です。建物構造や用途によって耐用年数が定められています。
例えば、鉄筋コンクリート造の倉庫で塩素や塩酸など腐食性のある物質の影響を直接受ける場合は、法的耐用年数24年となります。
・経済的耐用年数
経済的耐用年数とは、建物の経済的価値がどれくらいの期間あるかという指標になります。
類似する用語として経済的残存耐用年数がありますが、こちらは建物の価値が0になるまでの残り年数を表しています。
経済的耐用年数=経過年数+経済的残存耐用年数
・物理的耐用年数
物理的耐用年数とはそのままの通り、建物が物理的に使用できなくなるまでの期間です。
構造物の仕組みだけでなく、老朽化により材質の品質が維持できなくなるなど、建物が劣化して使用できなくなるまでの年数を示します。
『修繕』の目的とは?
次に、「修繕の目的って何があるの?」ということについてご紹介します。建物は、倉庫や工場のような用途が特殊なものに関わらず、一般住宅だとしても定期的な点検や修繕が必要です。修繕内容によっては多大なコストが必要になるため、できるだけ修繕のスパンをのばしたい…修繕をしたくない…と考えるものだと思います。しかし、建物に使用されているさまざまな材料にも寿命があり、経年劣化や何らかの自然現象の影響を受けて物理的劣化が引き起こされてしまうものなのです。
目的その① 建物の状態を維持する
それでは修繕の目的をもう少し詳しくご紹介します。建物の修繕を行うことは、「経年劣化や自然現象による物理的劣化などに対して、建物の状態を維持し、より長くその建物を利用するために行う」というのが第一の目的となります。これは、工場や倉庫だけに関わらず、一般住宅でも長くその住居に住み続けたいと思えば、表面化した劣化に対してさまざまな修繕を行うかと思います。
倉庫や工場も同様で、より長期的にその施設を利用するためには、各劣化に応じて適切な修繕を行い、建物の維持をしていかなければならないのです。
目的その② 安全を守る
工場や倉庫で適切に修繕を進めることには、「建物の安全性を確保する」という目的もあります。例えば、経年劣化を放置してしまうと、地震や台風などの自然災害があった際、建物に大きな被害が出てしまい、中で働く従業員の命まで危険に晒してしまいます。東日本大震災や熊本地震のように、巨大地震は誰も予想し得ない甚大な被害を建物にもたらす場合もあるのです。
また、施設によっては火災の原因となる危険物を内部に保管していることも少なくないでしょう。こういった場合、自然災害のみならず、人為的なミスで大規模火災が発生してしまう危険もあり、従業員の安全を守るためには、計画的に修繕を進めて、建物の安全性を確保しておく必要があるのです。倉庫や工場などは、一般住宅よりも建物の規模が大きく、不特定多数の方が内部で活動しますので、何らかの災害が発生した場合には、その被害も拡大してしまう危険性があります。そのため、より安全性を高めるための適切な修繕が求められるのです。
修繕方法について
それでは具体的にはどのような修繕を考えておかなければいけないのでしょうか?
修繕にもいくつかの種類と方法があります。適切な修繕計画を考えるにはその概略程度でもつかんでおかなければいけません。例えば、同じ建物だとしても、外部にさらされる外装と、建物内部の内装では劣化する原因も劣化速度も大きく異なります。したがって、施設の修繕計画を立てるときには、そういった部材ごとの環境なども考えておかなければいけません。
以下で倉庫や工場で必要になる修繕のチェックポイントをご紹介します。
外装修繕のポイント
倉庫や工場における外装の修繕は、「屋根の修繕(屋上を含む)」「外壁の修繕(塗装を含む)」が中心となるでしょう。屋根や外壁は、常に風雨や紫外線の影響を受け続けるため、他の部位と比較してもかなり劣化スピードが速い部分となります。
屋根の修繕に関しては、屋根の再塗装や防水処理、細かな部分補修や屋根全面の葺き替え工事が主な修繕内容となります。修繕のタイミングなどは、使用している屋根材や塗料によって大きく異なりますので、それら部材の特性もつかんでおくとよいでしょう。修繕のタイミングを掴むには、「屋根材にひび割れが無いか?」「塗装にチョーキングが起きていないか?」「屋上などで水たまりができていないか?」など、定期的に異変がないかチェックしましょう。
外壁の修繕は、再塗装工事やひび割れの修繕、コーキングの修繕、外壁材の張り直しなどが主な修繕内容となります。外壁は普段から目に入る場所ですので、屋根に比べれば不具合なども発見しやすいと思います。例えば、出退勤時にでも「ひび割れはないか?」「塗装の剥離が起こっていないか?」「コーキングの脱落はないか?」などをチェックしておけば、致命的な劣化を招く前に修繕可能になると思います。
雨漏りなどが発生してしまうと、設備や商品に甚大なダメージを与える可能性もあるため、小さな異変を感じた際は、できるだけ早く専門業者に点検してもらうことをおすすめします。
内装修繕のポイント
次は内装の修繕です。内装も施設によっては構造や使用材料が大きく異なりますので、まずはそれぞれの特性を掴んでおきましょう。修繕内容では、内壁の修繕、建具の修繕、機能・用途の修繕などが中心となるでしょう。
倉庫や工場の環境によっては、内部での作業が原因となり内装材が汚れたり傷んでしまうことも少なくありません。そのため内装材の定期的な修繕も修繕計画に含んでおきましょう。
構造部分の修繕ポイント
次は構造部分の修繕です。これは建物の耐久性・耐震強度にも関わる事項ですので、従業員の安全を守るためにも非常に重要な修繕となります。
建物の構造には、柱、床、梁、基礎、階段などがあり、これらをまとめて「構造部分の修繕」となります。チェックしておきたいポイントとしては、「柱・床・基礎などにひび割れが生じていないか?」「梁にたわみが無いか?」「金属部分にサビが進行していないか?」などとなりますが、目に見えない部分で問題が生じたり強度不足が起こっている可能性もありますので、定期的に専門家による診断を受けましょう。
実際に修繕を行う場合には、部材の交換や補強で済む場合もありますが、劣化の進行具合によっては建て替えが必要になることもあります。したがって、そのような事態に陥る前に適切な修繕を行えるような体制作りが重要です。
設備の修繕ポイント
倉庫や工場ではさまざまな設備が使われていますので、各設備の修繕も必要不可欠です。特に電気設備や給排水設備は利用頻度が高いため、他の部位の修繕よりも周期が短くなるでしょう。
設備に関するチェックポイントとしては、「サビの進行はないか?」「水漏れの発生はないか?」「排水の流れにおかしな点はないか?」「水道水が濁っていないか?」などとなります。ただし、設備の修繕では、内壁内で配線が劣化している…など、目に見えない部分で劣化が進行している場合もあるので、そういった部分も定期的にチェックしましょう。
まとめ
今回は、倉庫や工場などの大規模施設で必要になるさまざまな修繕ポイントについてご紹介しました。こういった施設の修繕工事は、その規模から大規模になりがちで、費用面がネックとなり後回しにされてしまうことも少なくないでしょう。しかし、必要な修繕を怠り、劣化を放置してしまうと、万一の自然災害時には甚大な被害が出てしまう危険が高くなってしまいます。当然、そこで働く大切な従業員の命まで危険に晒してしまうこととなります。
建物を長く運用するためには、劣化部分をいち早く修繕することがとても重要になるため、計画的に施設の修繕を進めていくようにしましょう。
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