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物流DXとは?物流業界のDX推進の取り組み事例を紹介

物流DXとは?物流業界のDX推進の取り組み事例を紹介

投稿日:2023.03.07 
更新日:2023.04.03 
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『DX(デジタルトランスフォーメーション)』という言葉をさまざまな業界で耳にするようになっています。

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、いくもの定義法があるのですが、経済産業省では『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』と定義しています。さまざまな業界で年々その重要性が高まっている戦略の一つがDX推進なのですが、現在最もDX推進が求められている業界の一つが『物流業界』です。

そこで当記事では、なぜ物流業界でDX推進が必要なのか、また実際にどういった取り組みが行われているのかについて解説します。

物流業界でDX推進が求められる理由

物流業界で、急速にDX導入の取り組みが推し進められているのは、従来から指摘されていた物流業界の問題がさらに深刻化している事が背景にあります。

小口配送の急増

小口配送の急増

引用:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

大手通販会社の台頭やコロナ禍の外出自粛の影響により、国内のEC市場はさらに急成長を遂げ、個人向けの小口配送が急増しています。上のグラフは、経済産業省が行った電子商取引に関する市場調査をまとめたものですが、2020年から2021年の推移を見てみると、コロナ禍の巣ごもり消費による影響か、物販系分野は12.2兆円(2020年)から13.3兆円(2021年)になっているなど、物販系分野のBtoC-EC市場規模は大幅な拡大を見せています。

引用:最近の物流政策について

物販部門のEC市場規模の拡大に伴い、物流業界で深刻な問題となっているのが、宅配便の取扱件数の急増です。2021年に国土交通省が公表した「最近の物流政策について」という資料によると、EC市場規模の拡大に伴って、宅配便の取扱件数は、5年間で約7.1億個も増加しているとされています。物流業界では、人手不足も深刻化していることもあり、物流需要が高まっているもののそれを運ぶ人材が確保できないという悪循環に陥っています。
さらには「再配達問題」が長年悩みの種となっているなど、今後さらに拡大していくと予想されているEC市場を考えると、より効率的な物流を実現するため、DX推進が重要視されているのだと考えられます。

人口減少による人手不足


引用:最近の物流政策について

上のグラフのように、物流業界では、多くの企業が人手不足を感じており、2019年の段階でトラックドライバー不足を感じている企業が約7割に達しています。配送需要が増大する中でのドライバー不足は、配送員一人一人の負担増につながり、離職者の増加によるさらなる人手不足を招く恐れもあります。

人手不足の解消を目的に、新たな人材の確保に力を入れている企業も多いですが、物流業界では、低賃金・長時間労働の常態化など、労働環境が悪いという印象もあり、新たな人材の確保に苦戦する企業が多いのが現状です。物流業界の労働環境については、以下のような問題があると指摘されています。

引用:最近の物流政策について

上のグラフから分かるように、物流業界は全職業の平均と比較した場合、労働時間が約2割長く、年間賃金は1~2割低いという状況になっているとされています。

さらに物流業界では、今後非常に大きな問題として待ち構えているのが2024年問題です。これは、2024年4月1日以降は、働き方改革関連法によって「自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限される」というものです。時間外労働時間の上限規制は、トラックドライバーのさらなる収入減少、物流業者の売上・利益減少など、さまざまな問題が指摘されており、まさに物流企業にとっての死活問題になることでしょう。

こういった物流企業を取り巻く人手不足の解消を目指す場合、やはり最新テクノロジーの導入が必要と考えられ、DX推進が重要視されています。

参考:食品業界から見た物流2024年問題

物流業界の問題を解決するためDX推進が重要!

物流業界は、上記のようなさまざまな問題を抱えています。そして、それらの問題を解決するための手段としてDX推進が重要視されています。ここでは、物流業界におけるDXについて簡単に解説します。

物流DXとは

国土交通省が2021年1月に公表した『最近の物流政策について』では、物流DXを以下のように定義しています。

機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること
引用:最近の物流政策について

また同資料の中では、物流DXを推進するための手段として「物流分野の機械化」と「物流のデジタル化」があげられています。以下に、それぞれの領域でどういったことを行うべきとされているのか、その具体例をご紹介します。

物流分野の機械化

  • 幹線輸送の自動化・機械化(自動運航船、トラック隊列走行・自動化)
  • ラストワンマイル配送の効率化(ドローン配送)
  • 庫内作業の自動化・機械化(自動配送ロボット、ピッキングロボット)

物流のデジタル化

  • 手続きの電子化による業務の効率化
  • 点呼や配車管理のデジタル化による業務の効率化
  • 荷物とトラック・倉庫のマッチングシステムの活用による物流リソースの活用の最大化
  • トラック予約システム導入による待ち時間の削減
  • AIを活用したオペレーションの効率化

サプライチェーン全体で物流DXを推進することで、情報やコストが可視化され、業務プロセスが標準化されるとしています。

参照:最近の物流政策について

物流業界におけるDX導入事例

それでは最後に、物流業界におけるDX導入事例をいくつかご紹介します。ここでは、国土交通省が公表している「物流・配送会社のための物流DX導入事例集」から、いくつかピックアップしてご紹介します。

携帯電話と連動したバース予約・受付システム


引用:物流・配送会社のための物流DX導入事例集

これは、トラックドライバーの待機時間削減とバース・倉庫内貨物の効率回転を目的とした物流DX導入事例です。トラックドライバーの長時間労働は、倉庫における積込みや荷下ろし待ちが発生することが大きな要因となっています。また、待機が発生した場合には、近隣への迷惑行為にもなりますので、限られたバース数の効率的な運用、倉庫内貨物の効率的な回転、ドライバー待機時間の低減を課題としている物流企業は非常に多いです。

そこでこの企業は、携帯電話と連動したバース予約・受付システムの導入を行いました。その結果、以下のようなメリットが得られたとしています。

  • 倉庫周辺での待機トラックや倉庫内貨物を可視化できるようになり、荷捌き、保管エリアでの貨物の整理や、バースの秩序だった運用が可能となった。
  • 車両と倉庫の効率的運用を実現し、車両の待機時間削減は渋滞緩和と環境保全にも寄与した。

AGFで出荷準備を自動化、縦持ち作業を効率化


引用:物流・配送会社のための物流DX導入事例集

物流業界では、倉庫内でのフォークリフトオペレーターや作業者の不足も顕在化していると言われています。また、働き方改革関連法に対応するためには、倉庫内作業の省人化、自動化が重要な課題となっています。

そこでこの企業では、自動フォークリフト(AGF)とオートレーター(自動垂直昇降機)を連携させ、既存倉庫での「夜間の出荷準備作業の自動化」を実現しました。さらに、「有人フォークリフト繁忙時の入・出庫作業の補助」にも活用し、入・出庫繁忙時間帯の縦持ち作業の効率化を実現しています。今回の物流DXの導入で以下のようなメリットが得られたとしています。

  • 残業を約1~2時間/人/日削減できた。(年間で約3000時間、人件費1,000円程度の削減に相当)
  • 入・出庫繁忙時間帯における縦持ち作業を効率化できた。
  • 入・出庫作業の錯綜の解消および人と荷役機械の役割分離によって、より安全な作業が実現できた。

上記以外にも、さまざまな物流DX導入事例が掲載されていますので、以下の資料をぜひご確認ください。

参照:物流・配送会社のための物流DX導入事例集

まとめ

今回は、物流業界で推進されている物流DXについて、なぜ物流業界でDXの導入が必要なのか、また具体的にどのような取り組みが行われているのかについて解説しました。

この記事でご紹介したように、EC市場はさらなる拡大を続けています。そして、EC市場の拡大に伴い、配送需要が年々増大している中で、物流業界では「それを運ぶ人手が足りない」という問題が深刻化しています。女性や外国人労働者の積極活用など、新たな人材の確保に努めてはいますが、物流業界の労働環境に関するネガティブなイメージも根強いため、人材の確保に苦戦する企業が多いように思えます。そこで物流業界では、その他の業界以上にDX推進が重要とされており、2024年問題が目前まで迫った現在、DX導入への取り組みを急いでいる企業が多くなっています。

DX導入により人手不足の解消はもちろんですが、倉庫内の業務やトラックの待ち時間削減などにより、効率化が図れるため、今より働きやすい環境の実現も期待でき、将来的には物流業界で働きたい方が増えるなどの好循環も期待できるのではないでしょうか。

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