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危険物の基礎知識。消防法における『非危険物』とはどんな物質?

危険物の基礎知識。消防法における『非危険物』とはどんな物質?

投稿日:2020.10.10 
更新日:2021.02.17 
お役立ち情報

『危険物』は、消防法によってその取り扱い方や保管方法が決められている物質の総称で、「通常の状態で保管・放置しておくと、引火性・発火性があり、火災や爆発、中毒などの災害につながる危険がある物質」のことを指しています。

それでは、さまざまな物質がある中でどのようにして『危険物』を指定しているのでしょうか?実は、危険物の指定に関しては、『危険物確認試験』と呼ばれるもので確認されており、この試験では、引火点の有無や爆発する危険性などが確認され、危険物であるか否かを判断されるのです。ちなみに、危険物確認試験を受けた結果、危険物に認定されなかった可燃物については『非危険物』という扱いになります。

『非危険物』という名称になると、全く危険性が無い物質と感じてしまうものですが、果たしてそうなのでしょうか?この記事では、消防法における『非危険物』がどのような物質なのかをご紹介したいと思います。

そもそも『危険物』とは?

それではまず、消防法によって定められている『危険物』がどのような物質なのかを簡単にご紹介しておきましょう。冒頭でも触れましたが、危険物は「通常の状態で保管・放置しておくと、引火性・発火性があり、火災や爆発、中毒などの災害につながる危険がある物質」の総称です。もう少しわかりやすく言うと、保管方法や取扱いを間違ってしまうと火災や中毒など、思わぬ事故につながってしまう危険がある物質のことです。

危険物と言われると、どうしても毒物や劇物をイメージしてしまうものですが、そうではないのです。危険物は、それぞれの特性によって危険性が異なるため、第一類~第六類までの六種類に分類されています。ちなみに、危険物の中には『灯油』や『ガソリン』『軽油』など私たちの日常生活にも非常に身近なものも含まれています。
危険物の分類については以下のようになっていますので、基礎知識として覚えておきましょう。

  • 第一類 酸化性固体
    他の物質を強く酸化させる性質があり、可燃性と混合したときに、『熱・衝撃・摩擦』により、きわめて激しい燃焼を起こさせる。
  • 第二類 可燃性固体
    それ自体が燃えやすい、もしくは40度未満などの低温でも引火しやすい性質がある。
  • 第三類 自然発火性物質および禁水性物質
    空気、水に触れることで発火もしくは可燃性のガスを発生させる性質がある。
  • 第四類 引火性液体
    燃えやすい液体のこと。
  • 第五類 自己反応性物質
    加熱分解などによって爆発の恐れがある固体や液体。通常、物が燃焼するには酸素が必要ですが、このカテゴリーの物質は分子内に酸素を含んでおり、空気に触れなくても燃焼が進む。
  • 第六類 酸化性液体
    第一類と同様に、他の物質の燃焼を促進させる性質をもつ。刺激臭を有する物質が多い。

危険物は、消防法によって上記のように分類されています。
そして、危険物にはそれぞれ『指定数量』というものが定められており、それを超える量の危険物を取り扱う・保管する場合には、さまざまなルールが設けられています。その他にも、自治体によって危険物に対する独自の決まりが定められている場合もありますので、危険物を取り扱う際には消防法だけでなく自治体の決まりも確認しなければいけません。

ただ、そういった細かく厳密なルールが定められているのは、危険物は火災の原因にもなり、人命に強くかかわるからです。そのため、危険物を取り扱う際には、専門家からのアドバイスは必須といえます。危険物倉庫の建設の際はぜひRiSOKOにお問い合わせください。

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参考資料:消 防 法 令 抜 粋(消防法上の危険物の定義、試験方法など)

『非危険物』とは?

それではここからは、『非危険物』がどういった物質なのかを解説していきましょう。『非危険物』という名称だけで考えると、危険性が無い物質のように思ってしまう方が多いでしょう。

この『非危険物』に関しては、冒頭でご紹介したように、危険物か否かを検査する危険物確認試験を行った結果、『危険物』と認定されなかった物質の総称となります。危険物は、上記で紹介したような分類がされており、それぞれの種類ごとに特性があるのです。例えば、私たちの日常生活にも非常に身近な灯油などが含まれる「第四類 引火性液体」で言うと、非常に引火しやすいという特徴を持っているため、危険物に認定されるのです。ちなみに「引火のしやすさ」については、引火点によって決められています。

つまり、試験の結果、定められている引火点が認められないような物質は『非危険物』に指定されるのです。以下に非危険物の参考をご紹介しておきます。

アルコール類で炭素数が1~3までの飽和1価アルコールの含有量が60重量%未満の水溶液 → 非危険物
アルコール類で可燃性液体量が60重量%未満で、引火点および燃焼点がエチルアルコールの60重量%水溶液の引火点および燃焼点を超えるもの → 非危険物
引用:化学物質管理の情報サイト

アルコール度数 43 %のウイスキーは,引火点と初溜点の値からGHS 及び国連勧告では引火性液体となるが,消防法だと除外規定の「① C1 ~ C3 までのアルコール濃度60 wt%未満の水溶液,②可燃性液体量が 60%未満であって引火点及び燃焼点がエチルアルコール 60 wt%水溶液の引火点及び燃焼点を超えるもの」を満たすため非危険物となる
引用:GHS 分類試験法と消防法危険物確認試験の比較紹介

※ 引火点とは
可燃性の液体または固体を加熱しながらその表面近くに炎をもたらすときに発火する現象を引火といい,引火が起る最低温度を引火点という。換言すれば,引火点とは液体または固体が,その表面で燃焼範囲の下限に相当するだけの蒸気を発生する温度のことである。
引用:コトバンク

『非危険物』の危険性とは?

『非危険物』がどういったものかがわかったところで、『非危険物』の危険性についてもご紹介しておきましょう。冒頭でご紹介したように、名称だけで考えれば「非危険物は危険性が無い物質」だと考えてしまう方が多いかもしれません。

しかし、『非危険物』が危険物と比較して安全なのかというそうでもないのです。上述したように、『非危険物』というものは、危険物確認試験で「危険物に指定される基準を満たしていない」だけの物質であり、発火・引火・爆発などの危険性が危険物ほどではないものの、可燃物であることに違いはないのです。ちなみに、危険物の中には、他の物質と混ざり合うことで、引火点がなくなってしまい『非危険物』扱いになってしまうような物もあるのです。

つまり、『非危険物』であっても、取り扱いや保管方法を間違ってしまった際には、火災や爆発など、思わぬ事故が発生してしまう可能性があると考えなければいけないのです。

まとめ

今回は、危険物の基礎知識として、消防法における『非危険物』がどのような物質なのかをご紹介しました。『危険物』という名称であれば、誰が見ても何らかの危険がある物質なのだと判断できるのですが、『非危険物』と言われてしまうと、危険性が無い物質だと勘違いしてしまう方が多いかもしれません。

しかし、この記事でご紹介したように、『非危険物』というものは、危険物確認試験などで「危険物の基準を満たしていない」と認定されただけの物質であり、可燃物だということに違いはないのです。したがって、それを知らずに不適切な取り扱いをしてしまうと、火災などの原因となってしまうことがありますので注意しましょう。

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