既存倉庫を冷凍・冷蔵機能付きにリノベーションする際の4つの重要チェックポイント

既存倉庫を冷凍・冷蔵機能付きにリノベーションする際の4つの重要チェックポイント

投稿日:2026.01.06  お役立ち情報

今回は、既存の一般倉庫などを冷凍・冷蔵機能付きの倉庫にリノベーションする際の注意点について解説します。 

私たちの日常生活を考えてみると、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで見かける冷蔵食品や冷凍食品が、今や日本人の食生活に欠かすことができない存在になっています。そして、こうした商品の保管に特化した倉庫が「冷蔵倉庫」と呼ばれる施設で、近年、この冷蔵倉庫のニーズが急速に高まっていると言われています。例えば、市場調査会社(Report Ocean(レポートオーシャン)株式会社が2025年8月に公表した分析)の分析によると、日本の低温物流市場は2024年の166億5,000万米ドルから、2033年までに703億米ドルへと、約4.2倍の規模にまで拡大するとの予測がなされていて、これを支えるための存在として冷蔵倉庫の需要が高まっているわけです。

冷蔵倉庫需要の増大に伴い、今までは一般倉庫として運用されていた既存倉庫に冷凍・冷蔵機能の追加を検討する事業者様が増えています。ただ、既存の一般倉庫から冷蔵倉庫へのリノベーションについては、「そんなことが可能なのか?」「実際に冷蔵倉庫にする場合は何に注意しなければならないのか?」といった疑問を抱える方が多いはずです。

そこで本記事では、既存倉庫を冷蔵倉庫にリノベーションする際の代表的なチェックポイントをご紹介します。

参照:レポートオーシャン株式会社webサイト

 

既存の一般倉庫を冷蔵倉庫に改修することは可能なのか?

それではまず、そもそも一般倉庫として運用していた倉庫を冷蔵倉庫に改修することが可能なのかについて解説します。

さまざまな荷物を保管するための営業倉庫は、その機能性によっていくつかの種類に分類されています。その中でも冷蔵倉庫は、低温環境下での荷物の保管に特化した施設のことを指しています。

なお、国土交通省が定める冷蔵倉庫については、荷物を保管する冷蔵室の保管温度帯が、常に摂氏10度以下に保たれるものとし、さらに国土交通大臣が定める基準を満たしていなければならない(倉庫業法施行規則(昭和三十一年運輸省令第五十九号))と定義しています。ただ、この基準を満たす施設については、全て「冷蔵倉庫」となるのですが、物流業界内では、-18度以下、-20度以下など、特に低い温度帯で保管するための倉庫については「冷凍倉庫」と呼称し区別されているケースもあります。

つまり、もともと一般倉庫として運用していた施設でも、常時摂氏10度以下に保たれる冷蔵室を用意すれば、冷蔵倉庫として運用することは不可能ではないということが分かります。

 

一般倉庫を冷蔵倉庫に改修することは不可能ではない

上述した通り、一般倉庫として運用していた既存倉庫でも、冷凍・冷蔵機能を追加することができれば、冷蔵倉庫として運用することは可能です。つまり、一般倉庫から冷蔵倉庫への改修については、技術的には可能という判断をしても良いです。

ただ、一般倉庫から冷蔵倉庫への改修は、保管温度帯以外の部分で多くの制約が伴うという点に注意が必要です。

詳しくは後述しますが、一般倉庫から冷蔵倉庫への改修を検討した場合、床の耐荷重や決められた温度帯を維持するための断熱性、また施設の使いやすさの面で、大きな問題が立ちはだかる可能性があります。例えば、床の耐荷重について、冷凍・冷蔵機能付き倉庫に改修する場合、新たに導入しなければならない冷蔵設備や断熱材、高密度で保管される荷物の重量により、床へかかる負荷が大きくなってしまい、もともと一般倉庫として運用していた既存の床構造では、重量に耐えられない可能性があるわけです。

そのため、一般倉庫から冷蔵倉庫への改修は、単に冷凍・冷蔵機能を追加するだけではおさまらず、大規模な構造補強が必要になる場合もあり、新築する以上にコストが高くなるケースがあるので、費用比較などを慎重に行わなければいけません。

 

既存倉庫を冷蔵倉庫にリノベーションする際の4つチェックポイント

ここまでの解説で、もともと一般倉庫として運用していた既存倉庫であっても、冷凍・冷蔵機能を追加して冷蔵倉庫に改修することは、技術的には可能ということが分かっていただけたと思います。

ただ、先ほど紹介したように、一般倉庫から冷蔵倉庫への改修は、保管温度帯以外の部分でもいくつかの制約が生じます。

そこでここでは、既存倉庫を冷凍・冷蔵付きにリノベーションする際の重要チェックポイントをご紹介します。

 

床の耐荷重について

一つ目のポイントは、床の耐荷重です。床の耐荷重は、床がどれくらいの重さまで耐えられるかを示す数値のことを指しています。

冷凍・冷凍倉庫は、一般倉庫と比較すると、床に対する負荷が大きくなります。冷蔵倉庫には、隙間なく大量の荷物が保管されることになるため、保管する荷物の荷重がかかります。さらに、一般倉庫とは異なり、倉庫内を冷やすためには大型冷蔵庫などを設置しなければならないため、設備の荷重もかかってきます。この他にも、フォークリフトなどの荷役機械が頻繁に走行することになるため、車両の走行による荷重や衝撃、摩耗などにも耐えられる強度が必要とされます。冷蔵倉庫の床は、一般的な倉庫よりも高い強度を確保するため、分厚いコンクリートにする、鉄筋量を増やすなどの対策が必要になるケースがある点に注意する必要があります。

この他にも、マイナス温度帯の倉庫であれば、コンクリートの凍結・膨張による破壊を防止するための対処が必要になったり、フォークリフトのスリップ事故を防止するための防滑性の確保などが必要になります。

 

断熱性の確保

冷蔵倉庫は、どのような状況下でも、常に定められた温度帯を維持し続けなければいけません。そのため、保管品に合わせて、適切な冷却設備が設置されるのですが、庫内の温度維持については、冷却設備だけに頼ってはいけません。

庫内を決められた温度帯に維持し続けるには、冷却設備以外にも、断熱・防熱構造が求められます。冷蔵倉庫は、外気温の影響を受け、庫内温度が上昇してしまうと、保管品がダメになってしまいます。そのため、外気温の影響を最小限におさえるためにも、壁や天井などの断熱対策がしっかりと施されています。その他、1階の床の防熱工事については床下がピット式(空間)なのか土間式(土)なのかでも断熱方法や仕様に影響を与えます。基本的には既存の床の上に断熱を施すことになるため、床段差などが生じるため慎重な計画が必要となります。

一般的な倉庫でも、作業環境の維持などを目的に断熱対策が施されています。しかし、一般倉庫と冷蔵倉庫に求められる断熱性能は大きく異なるため、追加の断熱処理が必要になります。なお、-25度以下のF級倉庫では、150mm以上の厚みを持った断熱材の施工が必要になる場合があるため、壁や天井に断熱材を施工できるだけの「スペースを確保できるのか?」なども問題になります。

この他、「熱橋(ヒートブリッジ)」を防ぐための気密施工や床下からの熱の侵入や凍上を防ぐ床防熱工事など、一般倉庫では必要とされない対策が求められるケースがある点も注意しなければいけません。

 

倉庫の使いやすさ(搬入口や段差について)

一般倉庫から冷蔵倉庫への改修で注意しなければならないポイントとしては、倉庫としての使い勝手の面もあります。

例えば、既存の一般倉庫に冷蔵庫や冷凍庫を後付けで入れるという場合、出入口部分に段差が生じてしまうことになり、フォークリフトなどの荷役機械の走行に支障をきたしてしまうケースが考えられます。

この他にも、荷物の搬入・搬出のスムーズさなどにも注目する必要があるでしょう。庫内の温度を一定に維持し続けなければならない冷蔵倉庫は、大きな搬入口の設置が温度維持の面で弱点になってしまう可能性があります。しかし、大型トラックが出入りするのに十分な広さや高さの搬入口が確保できなければ、効率的な荷物の出し入れが困難になる可能性があり、ビジネスの足かせになってしまうかもしれません。

一般倉庫と冷蔵倉庫は、倉庫そのものの使い方が変わってしまうという点も注意して、必要になる設備などのことを考慮する必要があります。

 

エネルギー・外部機械スペースの確保

目には見えにくい部分ですが、倉庫を動かすためのエネルギー供給についてもチェックしなければいけません。特に、冷蔵倉庫は、一般倉庫とは比較にならないほど多くのエネルギーを必要とします。

先程紹介したように、冷蔵倉庫は、決められた温度帯を常時維持し続けなければいけません。そのため、庫内を冷やすための冷却設備は、24時間365日稼動し続けることになり、膨大な電力を必要とします。つまり、一般倉庫から冷凍・冷蔵機能を持った倉庫にリノベーションする際には、それだけの電気を供給できる力が備わっているのかを確認する必要があるわけです。もし、電力の供給能力が足らない場合は、大規模な電気工事も必要となるため、倉庫の改修にかかるコストが増大します。

また、電力が確保されたとしても冷凍倉庫などは外部(外周部や屋上等)に大型の機械設置が必要となります。屋上設置であればスペース確保のほかに、荷重が見込まれているかの確認も必要となります。

 

まとめ

今回は、既存の一般倉庫に冷凍・冷蔵機能を追加することで、冷蔵倉庫に改修することができるのか、また冷蔵倉庫へのリノベーションを実行する際、どのようなことに注意しなければならないのかを解説しました。

記事内でご紹介した通り、もともと一般倉庫として運用していた施設でも、冷凍・冷蔵機能を追加することで冷蔵倉庫にリノベーションすることは、技術的に可能です。しかし、一般倉庫から冷蔵倉庫への移行は、単に冷蔵設備を設置すれば良いというほど単純なものではないという点に注意しなければいけません。

冷蔵倉庫の需要が年々高まっているという情報を耳にする機会が増えています。しかし、一般倉庫から冷蔵倉庫への改修は、さまざまな面に注意を払う必要があります。こういった特殊なケースでは、経験が非常に重要になりますので、ぜひ実績豊富な「RiSOKO」にご相談ください。

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