倉庫業法施行規則の温度区分細分化に関する改正について

倉庫業法施行規則の温度区分細分化に関する改正について

投稿日:2025.08.29 
更新日:2025.09.29 
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食品衛生法が定める「冷凍・冷蔵倉庫業」で使用する「冷蔵倉庫」については、倉庫業法という法律により厳密に定義されています。倉庫業法によると、冷蔵倉庫は「+10℃以下の低温で保管する施設」となっているため、マイナス以下の温度帯で保管する冷凍用の倉庫もこの中に含まれます。そして、冷蔵倉庫の温度区分については「倉庫業法施行規則」で、保管温度帯によって「C(チルド)級」や「F(フローズン)級」と言った区分がされており、「冷凍倉庫」については厳密な定義ではないものの、F級以下の温度で保管する施設を指して使うことが多いです。

そしてこの度、この冷蔵倉庫の温度区分について、これまでの7つの温度帯から、10段階に細分化されるという倉庫業法施行規則の改正が行われています。冷蔵倉庫の温度区分細分化に関する法改正は、令和6年4月1日に施行されているのですが、この記事では温度区分がどう変わったのか、法改正の背景についてもご紹介します。

 

温度区分は具体的にどう変わった?

まずは、倉庫業法施行規則の改正により、従来の温度区分がどう変わったのかを具体的にご紹介します。7つの温度帯に区分されていたものが、2024年4月の改正により10区分に細分化されています。

ここでは、従来の温度区分と、新しく決められた温度区分の両方をご紹介します。

 

旧温度区分

従来の温度帯は、以下の7つに区分されていました。

温度区分 温度帯
C3 -2℃を超え、+10℃以下のもの
C2 -10を超え、-2℃以下のもの
C1 -20℃を超え、-10℃以下のもの
F1 -30℃を超え、-20℃以下のもの
F2 -40℃を超え、-30℃以下のもの
F3 -50℃を超え、-40℃以下のもの
F4 -50℃以下のもの

 

新しい温度区分

令和6年4月より、冷蔵倉庫の基準のうち、温度帯の区分が以下の通り細分化されています。

温度区分 温度帯
C3 -2℃を超え、+10℃以下のもの
C2 -10℃を超え、-2℃以下のもの
C1 -18℃を超え、-10℃以下のもの
F1 -24℃を超え、-18℃以下のもの
F2 -30℃を超え、-24℃以下のもの
F3 -35℃を超え、-30℃以下のもの
SF1 -40℃を超え、-35℃以下のもの
SF2 -45℃を超え、-40℃以下のもの
SF3 -50℃を超え、-45℃以下のもの
SF4 -50℃以下のもの

主に冷凍のしすぎによるエネルギーの無駄遣いを抑える目的で、冷蔵倉庫の温度帯は10区分に細分化されています。従来の温度区分との対比については、国土交通省の資料内で分かりやすく図解されています。

冷蔵倉庫の温度帯10区分

引用:国土交通省資料より
 

倉庫業法施行規則の改正について

それでは、倉庫業法施行規則の温度帯改正について、なぜ今回の法改正が実施されたのか、その背景や目的について解説します。

 

倉庫業法施行規則改正の背景と目的について

今回の法改正の背景については、国土交通省のwebサイト内で以下のように解説されています。
 
倉庫業法施行規則(昭和31年運輸省令第59号)第3条の11において、冷蔵倉庫については、冷蔵室の保管温度が常時摂氏10度以下に保たれるものとして国土交通大臣の定める基準を満たしていなければならないこととする旨を定めており、倉庫業法第三条の登録の基準等に関する告示(平成14年国土交通省告示第43号。以下「告示」という。)において、温度帯区分等を定めています。
近年、冷凍食品の保管量の増加や電力料金の高騰等の環境の変化が生じているところ、過冷凍による保管品の品質の劣化を防止し、保管料の高騰を抑制するとともに、環境負荷の低減を図る観点から、従来の温度帯区分を細分化し、より適正な取引を促す必要があることから、告示について所要の改正を行いました。
引用:国土交通省webサイト

冷蔵倉庫は、「保管温度が常時摂氏10度以下に保たれるもの」という条件が基本となっています。これは、昭和31年に制定された倉庫業法施行規則に基づいています。

しかし、昨今では、冷凍食品の需要増加や電力コストの上昇などを理由として、従来の温度管理基準では対応が困難になってきたという指摘がなされています。例えば、過冷凍による保管品の品質劣化や保管コストの増加、また本来は不要なはずのエネルギーを使用することによる環境負荷の増大などが問題視されています。

そこで、これらの問題を解消し、保管品質を維持しながら、保管料高騰を抑制し、さらに環境負荷の低減を図る観点から、従来の温度区分をさらに細分化することとなったのです。
 

倉庫業法施行規則改正の概要と適用時期について

今回の法改正では、従来の冷蔵倉庫の温度区分をより細かく設定することで、保管品の品質保持と経済性、さらに環境配慮のバランスをとることが目的とされています。

従来の温度区分をさらに細分化することで、冷凍食品などの保管品について、それぞれ適正な温度管理が可能になることから、過冷却による品質低下を防止することができるようになります。さらに、冷却のために余計なエネルギーが使用されることを防ぐことも出来るようになるため、CO2排出量削減など、環境負荷の低減にも寄与できるとされています。

なお、今回の倉庫業法施行規則の改正は、令和5年12月28日に公布され、令和6年4月1日から施行されているのですが、倉庫業法第3条の規定に基づき、すでに登録されている事業者や申請後に登録未了の状態で施行日を迎えた事業者については、経過措置が適用され、従来の基準に基づく取り扱いとされています。

 

まとめ

今回は、2024年4月1日に施行された倉庫業法施行規則の温度区分細分化に係る改正について解説しました。

記事内でご紹介したように、今回の改正により、冷蔵倉庫の運用における品質管理と環境負荷の低減がさらに進むと期待されています。温度区分が細分化されたことで、保管物品の特性に合わせて適切な温度帯での保管が可能になります。そのため、保管に無駄な電力コストがかかることがなくなり、経済的な運用が可能になることで、倉庫事業者だけでなく、消費者にもメリットがもたらされると期待されています。

これから冷蔵倉庫・冷凍倉庫の新設や増設を検討の企業様は、最新の法令に精通し、実績も豊富なRisokoに是非ご相談ください。

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