pageTop

医薬品倉庫と医薬品の物流業務に必要な許可を解説

医薬品倉庫と医薬品の物流業務に必要な許可を解説

投稿日:2022.07.07 
更新日:2023.11.01 
お役立ち情報

今回は、医薬品の保管を行う倉庫について、物流業務の中で医薬品を取り扱う場合、どのような許可が必要になるのかを簡単にご紹介します。

『医薬品』と聞くと、人の健康を維持するための物品というイメージが強く、品質を損なわない程度の温度管理がなされている場所で保管すれば良いと考えてしまう方が多いと思います。しかし、医薬品の中には、原料としてアルコール類が含まれているものが存在しており、製品によっては、消防法上の危険物として取り扱わなければならないケースが考えられます。例えば、コロナ禍の現在、皆さんも毎日のように使用している消毒用アルコールについては、アルコールの濃度が60%以上(重量%)の製品になると、消防法上の危険物に該当します。

日本国内では、倉庫業法により、営業倉庫の種類がわかれていて、保管可能な物品に制限が設けられています。そして、倉庫業法施行規則の別表に定める第七類物品(消防法第2条の危険物および高圧ガス取締法第2条の高圧ガス)を保管する施設が危険品倉庫となるのですが、危険品倉庫で医薬品の物流業務を行う場合、どのような許可が必要になるのでしょうか?
この記事では、危険品倉庫などで医薬品の物流業務を行う場合に、必要になる許可について解説します。

参考:物品の種類と保管可能な営業倉庫
参考:東京消防庁「消毒用アルコールについて」

倉庫の分類について

冒頭でご紹介したように、医薬品の中には消防法上の危険物に該当する物品が存在します。それでは、危険物に該当する医薬品を保管することになった場合におさえておくべきポイントは?

営業倉庫は、保管する物品の種類などによって「一類倉庫・二類倉庫・三類倉庫・野積倉庫・水面倉庫・貯蔵槽倉庫・危険品倉庫・冷蔵倉庫」などと、倉庫の種別がわかれています。よって営業倉庫として登録していれば何を保管しても構わないというわけではなく、保管物品の種類や数量の制限を予め調べておかなければ、違法操業になってしまう可能性があるわけです。

危険品倉庫で保管する物品について

営業倉庫の中でも『危険品倉庫』で保管するべき物品について、倉庫業法では「第七類物品」と定義しています。第七類物品は、危険物と高圧ガスが該当するのですが、それぞれ消防法と高圧ガス保安法によって定義されており、貯蔵する物品の種類や量などに応じて、届出の提出や許可などの取得が義務づけられています。

なお、以前の倉庫業法規則では、消防法や高圧ガス保安法で許可などを要しない一定数量未満の危険物などであっても、営業倉庫で保管する場合は危険品倉庫で保管すべきとされていました。ただ、平成30年6月29日に行われた倉庫業法施行規則等の改正によって、いくつかの条件を満たしていれば、危険物などであっても一類倉庫で保管可能となるよう運用方針が変更となっています。一類倉庫で保管可能となる条件は以下のように定められています。

  • 消防法第9条の4第1項の指定数量未満のもの
  • 高圧ガス保安法第3条第1項第8号に該当するもの

参考:消防法
   高圧ガス保安法施行令

医薬品の物流業務に必要な許可

それでは、医薬品などの物流業務を担う施設で必要になる許可について解説していきましょう。近年、倉庫事業者が薬事法分野での許認可を取得するケースが増えています。
どのような許認可かというと、医薬品製造業・医薬部外品製造業・医療機器製造業・化粧品製造業などといったものです。

「倉庫事業者がなぜ製造業?」と疑問に感じてしまう方が多いと思うのですが、国民の健康に大きな影響を与える医薬品分野の許認可に関しては、他の業界よりもかなり幅広く定義づけされていることから、物流を担う業者が製造業の許可を取得しなければならない状況になっているからです。

『製造』といえば「原料や原材料の入荷から製品を作る」というのが一般の方がイメージする工程だと思いますが、薬機法(旧薬事法)で規制される医薬品や医療機器、医薬部外品、化粧品については、包装・表示・保管の業務を受託できるのは、製造業の許可を取得した業者に限定されます。

なお、医薬品周りの許可については、製造業の他に、「製造販売業、販売業・賃貸業、修理業」などがあります。そして、市場への出荷責任を負うのは製造販売業者であり、製造業は製造に特化した許可となるので、製品を市場に出荷することはできません。

医薬品や医療機器、医薬部外品、化粧品の物流業務では、以下のような許可が必要になると考えておきましょう。

  • 医薬品卸売販売業の許可
  • 医薬品製造業の許可(包装・表示・保管)
  • 医薬部外品製造業の許可(包装・表示・保管)
  • 動物用医薬品製造業の許可(包装・表示・保管)
  • 化粧品製造業の許可(包装・表示・保管)
  • 高度管理医療機器等販売業の許可

なお、上記の許可については、それぞれいくつかの区分が存在していて、該当する区分の許可を受けることが必要です。許可区分については、以下の資料などで確認しておきましょう。
食品(医薬品)物流センター建設のポイントはこちら

> 医薬品等製造業の許可の区分(1)

まとめ

今回は、営業倉庫などが、医薬品の物流業務を担う場合に必要になる許可について解説してきました。

この記事でご紹介したように、人の健康を維持するため医薬品を保管する倉庫では、その他の物品を取り扱う時には気にしなくても良いような許可を取得しなければいけません。例えば、倉庫内での物流業務として、化粧品や医薬品のラベル貼りを行う時には、医薬品製造業や化粧品製造業の許可が必要になるとされています。

その他にも、医薬品の中には、消防法上の危険物に該当する物品もありますので、取り扱う物品によって、倉庫に求められる設備も大きく変わるため、綿密な計画が必要です。

関連記事
医薬品物流の特徴と医薬品・医療機器・治験薬を保管する際のポイント
医薬品倉庫建設の際に重要な適正流通(GDP)ガイドラインを解説

危険物倉庫VR動画

危険物倉庫 施工実績 バーチャル内覧

TAG

もっと見る▼