医薬品倉庫と医薬品の物流業務に必要な許可を解説
投稿日:2022.07.07
更新日:2026.03.23
お役立ち情報
医薬品を保管・管理する倉庫で物流業務を行う場合、単なる倉庫業登録だけではなく、医薬品の流通に関わる法令に基づいた許認可が必要になることがあります。特に、医薬品や医療機器、医薬部外品、化粧品などの保管・包装・表示・出荷に関わる業務は、薬機法や倉庫業法、消防法の要件を満たす必要があり、複数の許可を取得しなければならないケースがあります。
この記事では、医薬品倉庫で物流業務を行う際に必要となる主な許可をわかりやすく解説します。
参考:物品の種類と保管可能な営業倉庫
参考:東京消防庁「消毒用アルコールについて」
Contents
医薬品倉庫と医薬品物流センターの違い
ここでは、混同されやすい「医薬品倉庫」と「医薬品物流センター」の違いを整理します。
両者は似ているようで、役割と機能の範囲が大きく異なります。
医薬品倉庫とは
医薬品倉庫は、医薬品を適切な環境で保管することを主目的とした施設です。
主な特徴は以下の通りです。
- 保管が主目的
- 温度・湿度・衛生管理が中心
- 営業倉庫としての登録・管理が基本
- 単体の保管スペースとしての機能
医薬品は品質維持が最優先となるため、空調設備や保管区分の整備など、品質管理を重視した施設設計が求められます。
基本的には「保管」に特化した施設であり、物流加工や出荷業務を必ずしも含むわけではありません。
医薬品物流センターとは
一方、医薬品物流センターは、保管機能に加えて物流業務全体を担う施設を指します。
具体的には、次のような機能を備えています。
- 在庫管理システム(WMS)の運用
- 入出庫管理
- ピッキング
- ラベル発行
- 梱包・包装
- 出荷・配送指示
- ロット管理・トレーサビリティ管理
物流センターでは、単なる保管にとどまらず、商品を市場へ送り出すまでの一連の業務を実行する役割を担います。
そのため、業務内容によっては薬機法上の許可(製造業許可など)が必要になる場合もあります。
倉庫業における倉庫の分類と注意点
営業倉庫は、保管する物品の種類によっていくつかの種別に分かれています。
主な営業倉庫の種類
- 一類倉庫
- 二類倉庫
- 三類倉庫
- 野積倉庫
- 水面倉庫
- 貯蔵槽倉庫
- 危険品倉庫
- 冷蔵倉庫・冷凍倉庫 など
上記のうち、危険物の保管は 危険品倉庫としての設備・届出 が必要になる場合があります。
営業倉庫として登録していても、“何でも保管できる” という意味ではなく、保管物品ごとに制限や設備要件があることを押さえておく必要があります。
危険物倉庫と医薬品の関係
医薬品の一部は、危険物として消防法の管理対象になるため、危険物倉庫としての要件が問われるケースがあります。
危険物倉庫での保管対象
倉庫業法では、危険物・高圧ガス類を含む「第七類物品」が危険品倉庫での保管対象です。
これらは消防法・高圧ガス保安法などの法規制に基づき、設備や届出・許可 が義務付けられます。
改正による運用の緩和
平成30年(2018年)6月の倉庫業法施行規則改正により、以下の条件を満たせば危険物であっても一類倉庫での保管が可能となりました。
- 消防法指定数量未満のもの
- 高圧ガス保安法該当数量未満のもの
これにより、医薬品保管の柔軟性が高まり、設備コストや運用の幅を広げることが可能になっています。
参考:消防法
高圧ガス保安法施行令
医薬品の物流業務に必要な許可
それでは、医薬品などの物流業務を担う施設で必要になる許可について解説していきましょう。近年、倉庫事業者が薬事法分野での許認可を取得するケースが増えています。
どのような許認可かというと、医薬品製造業・医薬部外品製造業・医療機器製造業・化粧品製造業などといったものです。
「倉庫事業者がなぜ製造業?」と疑問に感じてしまう方が多いと思うのですが、国民の健康に大きな影響を与える医薬品分野の許認可に関しては、他の業界よりもかなり幅広く定義づけされていることから、物流を担う業者が製造業の許可を取得しなければならない状況になっているからです。
『製造』といえば「原料や原材料の入荷から製品を作る」というのが一般の方がイメージする工程だと思いますが、薬機法(旧薬事法)で規制される医薬品や医療機器、医薬部外品、化粧品については、包装・表示・保管の業務を受託できるのは、製造業の許可を取得した業者に限定されます。
なお、医薬品周りの許可については、製造業の他に、「製造販売業、販売業・賃貸業、修理業」などがあります。そして、市場への出荷責任を負うのは製造販売業者であり、製造業は製造に特化した許可となるので、製品を市場に出荷することはできません。
医薬品や医療機器、医薬部外品、化粧品の物流業務では、以下のような許可が必要になると考えておきましょう。
- 医薬品卸売販売業の許可
- 医薬品製造業の許可(包装・表示・保管)
- 医薬部外品製造業の許可(包装・表示・保管)
- 動物用医薬品製造業の許可(包装・表示・保管)
- 化粧品製造業の許可(包装・表示・保管)
- 高度管理医療機器等販売業の許可
なお、上記の許可については、それぞれいくつかの区分が存在していて、該当する区分の許可を受けることが必要です。許可区分については、以下の資料などで確認しておきましょう。
食品(医薬品)物流センター建設のポイントはこちら
まとめ
今回は、営業倉庫などが、医薬品の物流業務を担う場合に必要になる許可について解説してきました。
この記事でご紹介したように、人の健康を維持するため医薬品を保管する倉庫では、その他の物品を取り扱う時には気にしなくても良いような許可を取得しなければいけません。例えば、倉庫内での物流業務として、化粧品や医薬品のラベル貼りを行う時には、医薬品製造業や化粧品製造業の許可が必要になるとされています。
その他にも、医薬品の中には、消防法上の危険物に該当する物品もありますので、取り扱う物品によって、倉庫に求められる設備も大きく変わるため、綿密な計画が必要です。
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