最新!リチウムイオン蓄電池の取扱い等に係る規制を含む消防法改正
投稿日:2025.05.30 お役立ち情報

総務省消防庁はこのほど、危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令等を公布しました。この改正は、以下の4つの事項について措置を行うため、危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)、危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)及び危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和 49 年自治省告示第 99 号)を改正する内容となっています。
- リチウムイオン蓄電池の取扱い等に係る規制の見直し
- 製造所及び屋外タンク貯蔵所の基準に係る見直し
- 航空機に給油する場合の危険物の取扱いの技術上の基準の見直し
- 指定講習機関が実施する危険物の取扱作業の保安に関する講習の手数料の見直し
この記事では、上記の改正内容のうち「リチウムイオン蓄電池の取扱い等に係る規制の見直し」について、その改正内容を分かりやすく解説します。
なお、今回の改正については、公布日が5月14日で、翌日に施行となっています。
参照:総務省webサイトより
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「リチウムイオン蓄電池の取扱い等に係る規制の見直し」の改正内容
総務省消防庁が公布した「危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令」では、リチウムイオン蓄電池の取り扱いに関する規制の見直しなどが盛り込まれています。2023年にあった下記の法改正の追加改正のような内容となっています。
関連:リチウムイオン電池貯蔵に関する法改正が施行。具体的な留意点を解説【動画で解説】
リチウムイオン蓄電池は、日常生活に広く使用されるようになっており、スマートフォンの電池やEV車の車載電池として今や欠かせない存在となっています。カーボンニュートラル実現のためには、EVや定置型蓄電池のさらなる導入拡大が重要とみなされていることから、国もリチウムイオン蓄電池の普及拡大を強く後押ししているという状況です。
ただ、リチウムイオン蓄電池の普及拡大を考えた時には、保管場所不足が大きな課題となっています。前回の改正でも、リチウムイオン蓄電池を保管する施設について、規模や設備の緩和がなされたのですが、リチウムイオン蓄電池専用倉庫でなければならないという点が大きなハードルとなり、保管場所の拡大には至りませんでした。そこで、今回の改正に繋がりました。
ここでは、リチウムイオン蓄電池の取り扱いに関する規制が具体的にどのように変更されたのかを分かりやすく要点を解説します。
改正内容① 屋内貯蔵所の位置、構造及び設備の基準に係る特例規定の整備【第16条の2の8等関係】
リチウムイオン蓄電池により貯蔵される危険物のみを貯蔵し、又は取り扱う屋内貯蔵所に係る基準の特例を定める。具体的には、以下の基準に適合するものは、令第10 条第1項に掲げる一部の規定を適用しないこととする。
- 一定の安全基準に適合する蓄電池を貯蔵すること。
- 蓄電池の充電率に応じて延焼拡大防止措置(スプリンクラー又は遮へい板の設置等)を講ずること。
- 屋内貯蔵所の用に供する部分とその他の部分を区画すること。(建築物の一部に屋内貯蔵所を設ける場合に限る。)
- リチウムイオン蓄電池を取り扱う屋内貯蔵所である旨を表示すること。 等
引用:総務省消防庁資料より
改正内容② 一般取扱所の位置、構造及び設備の基準に係る特例規定の整備【新規則第28条の54及び第28条の59の2等関係】
リチウムイオン蓄電池により貯蔵される危険物を用いた蓄電池を製造し、組み立て、又は充電し、若しくは放電する作業のために危険物を取り扱う一般取扱所に係る基準の特例を定める。具体的には、以下の基準に適合するものは、令第19条第1項において準用する令第9条第1項に掲げる一部の規定を適用しないこことする。
- 一定の安全基準に適合する蓄電池を用いること。(組み立て又は充電若しくは放電作業時のみ)
- 蓄電池の充電率に応じて延焼拡大防止措置(スプリンクラー又は遮へい板の設置等)を講ずること。
- 一般取扱所の用に供する部分とその他の部分を区画すること。(建築物の一部に一般取扱所を設ける場合に限る。)
- リチウムイオン蓄電池を取り扱う一般取扱所である旨を表示すること。 等
引用:総務省消防庁資料より
改正内容③ 消火設備の基準に係る特例規定の整備【新規則第35条の2から第35条の4まで等関係】
①の屋内貯蔵所、②の一般取扱所及びリチウムイオン蓄電池により貯蔵される危険物を用いた蓄電池設備以外では危険物を取り扱わない一般取扱所に設置しなければならない消火設備について、以下の基準に適合するものは、令第20条第1項及び第2項に掲げる基準を適用しないこととする。
- 第二種のスプリンクラー設備を、一定の性能に適合するように設置すること。
- 第三種、第四種及び第五種の消火設備を、液状の危険物を取り扱う設備及び危険物を取り扱うタンクの火災を有効に消火することができるように設置すること。 等
引用:総務省消防庁資料より
改正内容④ 屋内貯蔵所において容器に収納しないことができる危険物の規定の整備【新規則第40条等関係】
屋内貯蔵所において、リチウムイオン蓄電池により貯蔵される危険物のうち、以下の方法で貯蔵されるものについては、容器に収納せずに貯蔵することができることとする。
- 水が浸透する素材(段ボールなど)で包装し、又は梱包する方法
- キュービクル式の設備により貯蔵する方法
- 一定の耐火性を有する箱に入れる方法 等
引用:総務省消防庁資料より
改正内容⑤ 危険物の運搬における積載方法に係る特例規定の整備【新規則第43条の3等関係】
リチウムイオン蓄電池を以下の方法により運搬する場合は、運搬容器に収納せずに積載することができることとする。
- 水が浸透する素材(段ボールなど)で包装し、又は梱包する方法
- キュービクル式の設備により運搬する方法
- 一定の耐火性を有する箱に入れる方法
- 試験等に用いられるものを保安上支障がない方法で運搬する方法
引用:総務省消防庁資料より
リチウムイオン蓄電池に係る改正内容は上記の通りです。
今回の改正により、基準を満たした場合に「特例として危険物倉庫ではない一般倉庫の一部」でも、リチウムイオン蓄電池の保管場所として利用可能になる点が大きな特徴といえます。
なお、特例を受けるための改正後の基準は、以下の通りです。
- 一定の安全基準に適合する蓄電池を貯蔵すること
- 蓄電池の充電率に応じて延焼拡大防止措置(スプリンクラー又は遮へい板の設置等)を講ずること
- 屋内貯蔵所の用に供する部分とその他の部分を区画すること(建築物の一部に屋内貯蔵所を設ける場合に限る)
- リチウムイオン蓄電池を取り扱う屋内貯蔵所である旨を表示すること
前回の規制緩和では、リチウムイオン蓄電池専用倉庫でなければならいという点が高いハードルとなっていたのですが、今回の改正により、一定の条件を満たすことができれば、リチウムイオン蓄電池と一般品との同時保管が可能となります。
これにより、既存の一般倉庫でもリチウムイオン蓄電池の保管が可能になり、普及拡大の課題となっている「保管場所不足」の解消につながります。
まとめ
今回は、総務省消防庁が令和7年5月14日に発表した危険物に関する規制見直しに係る新たな政令について、リチウムイオン蓄電池の取扱い等に係る規制の見直しに注目して、その改正内容をご紹介しました。
今回の改正により、一定の条件を満たすことができれば、危険物の規制に関する政令で定められている「貯蔵倉庫は、独立した専用の建築物とすること」という規定が、リチウムイオン蓄電池の保管については適用外となります。
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