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従業員の高齢化が進む工場や倉庫。高齢者が働く現場で注意しておきたいポイントは?

2020.05.15お役立ち情報

少子高齢化が進む日本では、労働者の高齢化が無視できない問題となっています。もちろん年配従業員の経験値というものは、企業にとってもなくてはならない非常に重要なものであることに間違いないのですが、工場や倉庫などの作業現場では体力の低下によって作業中の事故が発生してしまうなど、従業員が怪我をしてしまうリスクが高まってしまいます。また、新たな若手人材を採用したくても、他の業界との採用競争が激化していることもあり、なかなか思うように採用活動が進まない…と悩んでいる企業も少なくないでしょう。

そのため、今後の日本社会を考えてみると、従業員の高齢化はさらに進んでいくと予想でき、企業としては高齢従業員が働く場所としての配慮が必要不可欠になってくるでしょう。そこでこの記事では、従業員の高齢化が進む工場や倉庫において、従業員の安全を守るための作業環境作りについて考えてみたいと思います。

高年齢労働者の安全を守るためには?

平成29年の厚生労働省が発表した労働災害発生状況によると、死亡災害については50歳以上が全体の約6割を占めています。一般的に55歳以上の労働者が『高年齢労働者』と呼ばれるのですが、工場や倉庫などの従業員を考えた場合、高年齢労働者が多く働いている現場は非常に多くなっていると考えられます。
それでは、そういった従業員が安全に働けるようにするためにはどういった対策が必要になるのでしょうか?厚生労働省が「高年齢労働者に配慮した職場改善マニュアル」という資料を公表していますので、ここではこの資料の中で紹介されている50歳以上の労働者に対して推奨すべき職場改善ポイントをピックアップしていきたいと思います。

参考資料:厚生労働省「高年齢労働者に配慮した職場改善マニュアル

作業管理に関する事項

まずは、作業管理に関する事項についてです。作業管理とは「作業環境中の有害因子の状態を把握して、できるかぎり良好な状態で管理していくこと」を指しており、いくつか参考となるものを以下に紹介しておきましょう。

安全性の確保・心理的ストレスヘの配慮

反応時間の延長や敏捷性の低下による事故を防止するため、以下のような配慮が必要になります。

  1. 高年齢労働者が守れる、ゆとりある作業標準を設定する。
  2. 自己学習の機会・手段を提供する。
  3. 高年齢労働者が自分たちのペースで作業できるように設計する。
  4. 職制と責任を明確化する。
  5. 危険な作業場に行く回数を少なくするなど、心理的ストレスを与える具体的な要因を排除する。
作業時間短縮と作業時間帯への配慮

作業時間短縮・作業時間帯に当たっては、以下のような配慮が必要になります。

  1. 勤務形態、勤務時間に選択の幅を持たせる。
  2. 半日休暇、早退などの自由度の高い休暇制度を導入する。
  3. 夜勤日数を減らし、極カ一人夜勤を避ける。
  4. 交代勤務では夜勤後は十分な休日がとれるようにする。
作業スピード、ペース等への配慮

作業スピード・内容の設定に当たっては、以下のような配慮が必要になります。

  1. とっさの反応を必要とする作業をなくす。
  2. その都度違った情報(数字・文字)を記憶しなければならない作業を少なくする。
  3. とっさの判断を要する作業をなくす。
  4. 作業のペースには、時々高年齢労働者が一息つけるくらいの余裕をもたせる。
事故防止への配慮

高年齢労働者の生理的機能の低下による事故の発生を防止するため、以下のようなことを考慮する必要があります。

  1. 配置に当たって経験を配慮する。
  2. 作業は視力や聴力など単一の能力に過度に依存せず、視聴覚などを合わせた総合的な能力を作業に活かせるようにする。
  3. 高年齢労働者と若年労働者が協働できる職場とし、高年齢労働者の生理機能の低下に起因する事故の発生を防止できる職場にする。
  4. 個人に合わせて調整できる椅子、工具を提供する。
事故の防止や、負担を低減するための作業環境の整備への配慮…①安全面

転倒・転落事故の防止のため、以下のような配慮が必要になります。

  1. 滑りやすい歩行路をなくす。
  2. 階段には手すりを設ける。
  3. 段差のある場所は表示する。
  4. 作業場及び通路に適切な照明を設ける。
  5. 高所作業床の囲いの手すりは高めとし、中桟さんや爪先板を付ける。
  6. 見通しの悪い角には、カーブミラー等を設置する。
  7. 通路のコーナー部は直角とせず、斜め線や曲線とする。
事故の防止や、負担を低減するための作業環境の整備への配慮…②視覚機能面

高年齢労働者の視覚機能の低下に対応した作業環境の形成のため、以下のような配慮が必要になります。

  1. 文字サイズを大きくする。
  2. 作業面及び通路に適切な照明を設ける。
  3. 作業場の掲示するもの(標語・作業手順・ポスターなど)は見やすいように工夫する。
  4. 作業場の掲示物が見えにくい色彩や不明瞭なコントラストの場合、改善する。
  5. 表示板等へのグレア(視野内で過度に輝度が高い点や面が見えることによっておきる不快感や見にくさ)の映り込みを防止する。

健康管理に関する事項

次に、高年齢労働者の健康管理に関する改善ポイントです。労働者の健康管理に関しては、以下のように定義されています。

健康管理とは、労働者個人個人の健康の状態を健康診断により直接チェックし、健康の異常を早期に発見したり、その進行や増悪を防止したり、さらには、元の健康状態に回復するための医学的及び労務管理的な措置をすることです。最近では、労働者の高齢化に伴って健康を保持増進して労働適応能力を向上することまでを含めた健康管理も要求されるようになってきています。
引用:厚生労働省「職場のあんぜんサイト」より

高年齢労働者の労働適性能を高め、健康の保持・増進を行うための配慮
  1. 包括的な項目を含む問診表を用いて、法に定められた健康診断を実施する。これにより、疾病の予防・管理がより厳密にコントロールできるよう配慮する。
  2. 高血圧症罹患、耐糖能異常及び糖尿病罹患、握力、心肺機能、貧血、肝機能異常といった診断を受けた高年齢労働者には特に配慮する。
  3. 健康に関するアドバイスを受けられる環境を整える。
  4. 身体機能維持のための運動、栄養、休養に関するアドバイスを受ける機会を提供する。
適性配置、職場復帰に関連した配慮
  1. 休業後の職場復帰では、体力を十分回復させ、疾病の再発や慢性化を回避する。(職場適応訓練、復職後のリハビリ出勤など)
  2. 身体の状況に応じて、就業時間帯を調整できるようにする。
  3. 作業負荷の高い作業は、軽作業を間に入れようるようにする。
  4. 適切なリハビリテーションを導入する。また、職場復帰情報の提供を行う。

※適性配置および作業制限に当たっては、年齢ではなく、個人の身体的・精神的状況に合わせて柔軟に対応することが必要

まとめ

今回は、少子高齢化が進む日本で、高年齢労働者に配慮した職場環境を作るための配慮についてご紹介してきました。企業にとって、経験豊富な高年齢労働者が持つ知識は非常に大切なものなのですが、工場や倉庫など肉体的な作業が伴う現場では、体力の低下に伴う労働災害が増加してしまうというリスクが潜んでいます。しかし、今後の日本社会を考えてみた場合、確実に高年齢労働者が増えていくことになると予想されていますので、「どのようにして高年齢労働者の事故を防ぐのか?」という視点が企業にとって必要になると考えられます。
この記事では、厚生労働省が公表している「高年齢労働者に配慮した職場改善マニュアル」を参考にいくつかの改善策をご紹介していますが、他にもたくさんの改善ポイントが存在します。高年齢労働者が安全に働ける職場づくりを進めるためにも、一度この資料を読んでみることをお勧めします。