冷凍冷蔵庫設備での結露防止対策や結露による弊害を解説!

冷凍冷蔵庫設備での結露防止対策や結露による弊害を解説!

投稿日:2019.09.11 
更新日:2025.10.24 
お役立ち情報

ここでは、冷凍・冷蔵庫設備の天敵となる『結露』の基本知識についてご紹介します。『結露』は、一般住宅でも問題となるものですので、どのような建物においても一般の気象条件を想定し、結露を発生させないように壁材質や断熱材の厚さなどが規定されています。特に、冷蔵庫や冷凍庫、低温作業室が多く配置されることとなる食品工場や冷蔵倉庫などでは、屋外との気温差も大きくなることから、新築やリニューアルにかかわらず、建設計画段階から結露対策に細心の注意を払わなければならないと言われています。
しかし、結露が発生する原因を十分に把握していたとしても、思いもよらない場所で水たまりが発見されることも少なくありません。特に、低温区域が多数存在する食品工場や冷蔵倉庫では、些細なことでもトラブルの原因となりますので、結露を完全に防ぐことは非常に困難なことになるのです。
そこで本稿では、結露が発生した場合に考えられる弊害や、結露を極力防ぐための基礎知識についてご紹介します。

結露のメカニズムとその弊害

それではまず、結露のメカニズムについて簡単にご紹介します。結露は、普段の生活の中でも目にすることが多く、喫茶店などで冷たいドリンクを頼んだ時、コップの外側に水滴がついたり、冬の寒い日に室内側の窓ガラスに水滴がつく現象も結露です。一般論としては、床・壁・天井で区切られた空間同士において、それぞれの空間の温度差が大きくなった場合、高温側の空間に表面結露が発生するのです。

結露(けつろ)とは
固体状態における物質の表面、または内部で、空気中の水蒸気が凝縮する現象のことである。
例:温度20℃・湿度50%の室内における露点温度は、9.6℃であり、壁や窓などの表面が、9.6℃以下の場所で結露が発生する。
引用:wikipedia

つまり、結露は、暖かく湿気を含んだ空気が室外側(または室内側)から冷やされることで、暖かい空気に含まれる湿気(水蒸気)が凝縮してしまい、結露(水)にかわることで発生するのです。このメカニズムから考えると、低温区域が多い食品工場や冷蔵倉庫において、完全に結露を防ぐことがどれだけ難しいのか分かっていただけると思います。特にこういった施設では、結露が見つかってから対処するのでは、処置の仕方も限られてしまい、最適な結露対策をとれないばかりでなく、余計なコストがかかってしまう…などと言った恐れもあるのです。したがって、冷凍冷蔵庫設備を備える施設では、結露対策を十分に考慮した建設計画を立てる必要があると言えます。

冷蔵庫・冷凍庫で結露が起こりやすい原因

冷蔵庫や冷凍庫の周囲で結露が発生しやすいのは、「温度差と湿度」が常に存在しているためです。庫内は低温で保たれている一方、外気は温かく湿度が高いことが多く、この温湿度差によって空気中の水分が冷却され、水滴となって現れるのです。以下のような要因が重なることで、結露は特に発生しやすくなります。

出入口や扉の開閉による外気の侵入

冷蔵庫や冷凍庫の扉を開けるたびに、室内や通路側の温かく湿った空気が庫内に流れ込みます。
この外気が急激に冷やされると、水蒸気が凝縮して壁面や床に水滴として付着します。
特に、頻繁に開閉する業務用冷蔵庫や大型冷凍庫では、結露の発生頻度が高くなります。

断熱構造の劣化や施工不備

冷蔵庫や冷凍庫の結露は、壁・天井・扉の断熱層にすき間や劣化がある場合にも発生しやすくなります。
断熱層がしっかり機能していないと、庫内の冷気が外側に伝わり、外壁や扉の表面温度が露点温度を下回ることで結露が生じます。

換気・除湿の不足

周囲の空気が滞って湿度が高い状態では、壁や床に湿気がこもり、結露が長時間残る原因になります。
特に冷凍庫の周辺や天井部は空気が動きにくく、カビや腐食の温床となることもあります。

温度管理や冷却機能の不均一

庫内の温度が均一に保たれていない場合、特定の部位だけが極端に冷やされ、そこに結露が集中します。
これは冷却機器の劣化や、センサーの不具合が原因のこともあり、定期点検での早期発見が重要です。

冷凍・冷蔵庫で起きる結露による弊害とは?

それでは、食品工場や冷蔵倉庫などで結露が発生してしまった場合、「どのような弊害があるのか?」をご紹介しておきましょう。一般住宅でも結露は大きな問題ととらえられていますが、お客様の大切な商品を取り扱う食品工場や冷蔵倉庫では、一般住宅では考えられないほど広範囲に影響を及ぼす可能性もあるのです。

  • カビやダニを発生させる原因になる
    結露は、カビやダニを発生させる原因となってしまいます。カビやダニの繁殖は、そこで勤務する従業員の健康に悪影響を与えるだけでなく、製品への異物混入の原因ともなり、広範囲に多大な影響を与える可能性があります。
  • 内部結露によって施設に悪影響が…
    内部結露に気付かず放置してしまうと、外壁下地材や土台を腐らせてしまう事があります。また、シロアリが繁殖してしまう原因ともなりますので、建物の寿命を縮める危険性があります。
  • 凍上現象が生じてしまう
    冷凍冷蔵庫で発生した結露は、結露水が凍結し、次第に大きくなって構造体を破損させてしまう危険性があります。
  • 断熱性能が低下
    結露によって発生した結露水が断熱材に浸透してしまうと、建物の断熱性能が低下してしまう危険性があります。

結露が原因の水濡れにお悩みの方はこちらの記事も併せてご覧ください。
【工場の結露対策】冷蔵・冷凍庫で結露や霜が発生する原因と防止策

冷凍冷蔵庫の結露対策

食品工場や冷蔵倉庫など、低温エリアを多く持つ施設にとって、結露は品質と衛生を脅かす重大なリスクです。
壁や天井に発生したわずかな水滴からでも、カビの繁殖や金属腐食、断熱材の劣化、さらには電気系統のトラブルへと発展する可能性があります。
冒頭でも触れた通り、こうした施設で結露を完全にゼロにすることはほぼ不可能です。
しかし、難しいからといって何の対策も講じないままでは、長期的に見て設備の寿命や衛生管理コストに大きな影響を及ぼします。
そこでここでは、現場で実践できる一般的な結露対策の基本原則を分かりやすく整理してご紹介します。

結露対策の基本の考え方

どのような建築物でも、結露を抑えるための基本は、「温度差の緩和・湿度管理・換気・露点制御」の4つをバランスよく行うことです。
以下のポイントを押さえることで、日常的な結露トラブルを大幅に防止できます。

  • 空間ごとの温度差をなるべくなくす
  • 冷却室と外部空間との温度差が大きいほど結露は発生しやすくなります。特に出入口や搬入口付近では、温かい空気が侵入しやすいため、前室(緩衝室)やエアカーテン、二重扉を設けて急激な温度変化を抑えることが重要です。
    また、断熱パネルや扉パッキンの点検・補修も定期的に行いましょう。小さな隙間でも結露の起点となります。

  • 適度な湿度を保つ(目安:40〜50%)
  • 湿度が高いと、わずかな温度低下でも空気中の水分が結露として現れます。一方で湿度が低すぎると、食品の乾燥やひび割れなど品質に悪影響を及ぼします。
    したがって、相対湿度40〜50%前後を目安にコントロールするのが理想です。除湿機や湿度センサー付き空調システムを活用し、リアルタイムで湿度変動を把握・制御できる環境を整えましょう。

  • 湿度を保つため、換気によって湿気を排出する
  • 換気は、結露対策の中でも見落とされがちでありながら最も重要な要素です。庫内や天井裏など、空気が滞留しやすい場所では湿気がこもりやすく、局所的に露点温度を超えることで結露が発生します。
    換気ファンや送風機の設置、空調との連動運転により、空気を常に循環させることが効果的です。また、作業後や開閉頻度の高い時間帯に一時送風を行う運用ルールを取り入れると、湿度を安定させやすくなります。

  • 室内の露点温度を下げる
  • 露点温度とは、空気中の水蒸気が水滴になる温度のことです。壁や天井の表面温度が露点を下回ると、結露が発生します。
    したがって、断熱性能を高めて表面温度を上げることが結露防止の鍵です。断熱パネルの厚みを見直したり、パネルヒーターやヒーター内蔵扉を設置することで、局所的な冷却を防ぎ、露点との差を確保できます。

これらの基本対策は、施設の構造・用途・運用環境によって最適な方法が異なります。特に新設・改修時には、建設計画段階から結露対策を設計に組み込むことが重要です。とくに「換気計画」は軽視されがちですが、湿気を溜めない設計=結露を防ぐ設計であることを理解し、空調や断熱とあわせた総合的な湿度管理システムの導入を検討すると良いでしょう。

RiSOKOが行った冷凍冷蔵庫の結露対策①

冷凍冷蔵庫の結露対策例

冷凍冷蔵庫の前の通路・荷捌き場は、冷凍庫内とつながった床が冷やされて結露が発生しやすくなります。 そこで冷凍庫前の床には施工段階でフロアヒーターを敷設します。

RiSOKOが行った冷凍冷蔵庫の結露対策②

冷凍冷蔵庫の結露対策例

冷凍冷蔵庫が建物の外部に接する場合、ALC等の外壁材の内側に断熱パネルを設置することで壁が二重になるケースがあります。このようなケースでは、二重壁内の空間の空気が滞留し結露しやすい状態になります。よって、結露が発生すことを前提に二重壁内の床面に排水溝を設けて結露水を外部に排出するディテールを採用します。

まとめ

今回は、食品工場や冷蔵倉庫の天敵である『結露』について、結露による弊害やその対策法をご紹介しました。本稿でもご紹介したように、結露は建物の寿命を縮めるだけでなく、異物混入の原因となるカビやダニの繁殖まで招いてしまいます。したがって、「たかが結露」などとは決して侮れるものではなく、「結露は事業の存続すら危険に晒すかもしれない非常に恐ろしいものだ」と認識しておいた方が良いでしょう。
特に、結露が発生してから対処しようとしても、取れる対策の範囲には限界がありますので、余計なコストばかりかかって、根本的な解決ができない…なんてことも考えられます。したがって、食品工場や冷蔵倉庫のように、低温区域が多数設置されると予想できる施設は、結露に関する専門的知識を有した建設会社などと計画段階から相談し建設することをオススメします。

冷凍冷蔵庫の施工事例はこちら
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