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風水害発生時における危険物倉庫の留意点について

2019.09.18お役立ち情報

今回は、危険物倉庫において、風水害対策を進める場合の留意点をご紹介します。近年、地球温暖化の影響もあってか、日本の夏はどんどん猛暑化する傾向にあります。数十年前であれば、気温30℃と聞くと、非常に暑い日だと感じていたものが、最近では「今日はマシだな…」と思えるような気温となっています。
さらに、私たちの生活にとって大きな問題となっているのは気温の上昇だけでなく、頻繁に上陸する台風や猛烈な雨が降り続く豪雨などによる自然災害です。昨年も西日本に甚大な被害をもたらした『平成30年7月豪雨』や台風21号は、テレビなどでも頻繁にその映像が流され、皆さんの記憶にも強く残っているのではないでしょうか?今年だけを考えてみても、つい先日にはお盆の帰省ラッシュに台風10号が日本列島を縦断し、鉄道網の乱れや浸水被害を発生させ、さらに8月の終わりには九州地方で豪雨による広範囲な河川氾濫など、水害が続出しています。
多くの危険物を保管している危険物倉庫では、こういった台風や豪雨による風水害に、特に注意が必要です。実際に、多数の給油取扱所では、浸水による電気設備の故障やタンクへの水混入などの問題も起こっており、第三類禁水性物質を貯蔵・取り扱う製造所などでは、浸水した水と接触したことによる爆発が発生し、周辺建物へも被害をもたらすような大事故にまで発展したケースが過去にあるのです。
今回は、地方自治体などが公表している、危険物保安上の主な留意事項をまとめます。必要な措置を講ずるにあたっての参考にしてみてください。

平時から必要な事前準備

自然災害というものは『突然』発生するものですので、平時からさまざまな事前準備を進めておく必要があります。ここでは、平時から進めておくべき風水害対策をご紹介します。

  • ハザードマップの確認
    まずは、危険物施設が所在する地域のハザードマップを参照しましょう。ハザードマップでは、当該施設が「浸水想定区域なのか?」や「土砂災害警戒区域に入っているか?」、「降雨に伴う浸水高さなど」を確認することが可能です。当該施設にとってどのような危険があるのかきちんと確認しておくことで、どんな対策が必要か判断することができます。
  • 計画策定
    当該施設において、豪雨や台風によって浸水被害などの発生が予想される場合、その被害発生の危険性を回避・低減するため、必要な措置の検討と計画策定を行いましょう。また、従業員の安全も考えて、必要な教育・訓練なども行う必要があります。

上記のように、自然災害対策は、平時から「施設にどのような危険があるのか?」をきちんと把握し、事前に必要な準備を進めることが非常に重要になります。ハザードマップを確認したうえで、当該施設に何らかの危険がある場合、以下のような事前準備を進めましょう。

事前準備の例
  • 台風や洪水などで停電した場合でも、温度や圧力などの管理を継続できるよう必要な設備を整える。自家発電設備や蓄電設備などのバックアップ電源の用意。
  • 万一の自然災害に備え、計画的な操業停止や危険物の搬入・搬出の時期や経路の変更などに関する判断基準や実施要領を策定する。
  • 万一の自然災害に備え、従業員の避難計画の策定教育・訓練を行う。 … など

風水害の危険性が高まった時の対策

次は、台風や豪雨などにより、実際に風水害の危険性が高まった場合の対策についてです。この時点で必要になる災害対策は、以下のようなものと言われています。

  • 危険物施設等における被害の防止・軽減を図るため、最新の防災情報を注視し、浸水、土砂流入、強風、停電などによる危険性に応じた措置を講ずる。
  • 従業員の避難安全を確保するためにも、十分な時間的余裕を持って上記①の作業を行う。
  • 浸水などに伴い、大規模な爆発など周辺に危害を及ぼす事態に至る危険性がある場合には、速やかに消防機関等への通報を行うこと。

風水害による被害が現実的になった時点では、従業員を避難させる時間的余裕も考えて災害対策を進めなければいけません。また、施設によって注意しなければならない被害も異なりますので、それぞれの対策についていくつか例をあげておきましょう。

浸水・土砂対策の例
  • 危険物施設内への浸水や土砂流入を防止するため、土のうや止水板などによって侵入口を塞ぐ。
  • 配管の弁やマンホールを閉鎖し、危険物の流出を防止する。また、タンクや配管へ水や土砂が侵入することを防止する。
  • 禁水性物質や金属の溶融高熱物など、水と触れる危険な物品については、高所へ移動する、水密性のある区画で保管するなどの措置を講ずる。
強風対策の例
  • 飛来物により配管等が破損した場合における危険物の流出を最小限にするため、配管の弁などを閉鎖する。
  • 屋外にある容器及びコンテナは、転倒防止のため、ワイヤーや金具で緊結する。また、重いものを下方に積む等の措置を講ずる。
停電対策の例
  • 危険物の製造や取扱いは、あらかじめ停止しておく。
  • 温度や圧力など、管理の継続が必要な物品については、自家発電設備などにより所要の電力を確保する

天候回復後の点検や復旧について

危険物施設では、台風や豪雨が過ぎ去ってしまえばそれで安心という訳にもいきません。天候回復後に施設を再稼働させる場合には、設備に不具合などが無いかきちんと点検する必要があります。

  • 施設・設備の点検を行い、必要な補修を施した後で再稼働を行うことが重要。特に、浸水被害のあった施設では、電気設備のほか、危険物を取り扱う設備や配管も損傷している可能性があります。したがって、目視点検だけでなく、作動状況や気密性、危険物への水の混入状況などについての確認も実施する必要があります。
  • 電力復旧時には、通電火災や漏電の危険性があります。そういった被害を防止するため、危険物施設内の電気設備や配線の安全性は慎重に点検しましょう。

まとめ

今回は、危険物施設において、風水害を防ぐにはどうすれば良いのかについてご紹介しました。元々日本は、地震や台風などの自然災害が非常に多い場所となりますので、諸外国と比較しても自然災害に対する準備は非常に慎重に行われる傾向にあると思います。しかし、近年では、季節外れの台風の上陸や、過去に経験したことが無いほどの豪雨が日本全国で増加しているように思われるため、今後は今まで以上に風水害対策に注意していかなければいけないのかもしれません。

危険物倉庫が自然災害により破損してしまった場合、近隣施設へも考えられないような影響を与えてしまう可能性があるため、『最悪』の状態を常に考え、さまざまな対策を進めていく必要があるでしょう。