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ガソリンと軽油の違いとは?特徴や 引火点・取り扱い・保管方法を解説

ガソリンと軽油の違いとは?特徴や 引火点・取り扱い・保管方法を解説

投稿日:2020.10.06 
更新日:2023.08.21 
お役立ち情報

今回は、消防法で定められている危険物の中でも非常に身近な存在である『ガソリン』と『軽油』の基礎知識についてご紹介します。

ガソリンと軽油は、どちらも自動車の燃料として使用されるもので、街中に点在するガソリンスタンドに行けば簡単に手に入る燃料です。もちろん、日常生活を考えれば、自動車の燃料として…以外にガソリンや軽油を利用する機会は少ないのですが、危険物に指定されている物質の中では、最も私たちの生活に身近な物質と言えるでしょう。
それでは、ガソリンと軽油について、「2つの違いは何?」と聞かれた場合、即座にその違いを答えられる方はどれほどいるでしょうか?ほとんどの方は、それぞれの違いなど気にせずに生活をしているため、ガソリンも軽油も似たようなものだと考えている方も多いかもしれません。実際に、過去にJAFがセルフガソリンスタンドで調査したデータによると、なんと1カ月間の間にガソリンと軽油の入れ間違いによるトラブルが全国で390件も発生していたという結果があるのです。

もちろん、こういった危険物の取り扱いが多い倉庫や工場で働く方であれば「ガソリンと軽油は全く別物」ということは理解しています。しかし、詳細な違いまではおさえていない…という方も多いと思いますので、今回はガソリンと軽油の違いをご紹介しておきます。

ガソリンとは?ガソリンの定義と特徴

それではまず、『ガソリン』と『軽油』それぞれの特徴や、どういった性質を持った物質なのかという基礎知識からご紹介していきましょう。

ガソリンの特徴(引火点・沸点・分類)について

それではまずガソリンの特徴からです。ガソリンは、原油を加熱して蒸留する際に、沸点が「30~220℃」の原油留分から得られる物質のことを指しています。ガソリンが精製される工程については、ほとんどの方がご存じないと思いますが、さまざまな成分が混合された原油からは、蒸留の温度を調節することによって『ガソリン』『軽油』『灯油』『重油』などが抽出されるのです。
因みに、精製されるガソリンについても、日本工業規格(JIS)によって『工業用ガソリン』『自動車用ガソリン』『航空ガソリン』の3つに分類されています。こういったガソリンの特徴は以下の通りとなります。

  • 自動車用ガソリンは引火点がマイナス40℃と低い
  • 自動車用ガソリンの沸点は35~180℃と低い
  • 水より比重が軽い
  • 水に溶けない
  • 独特の臭気がある
  • ガソリンは危険物第四類・第一石油類に分類される

軽油とは?軽油の定義と特徴

次は、軽油の特徴についてです。ガソリンと同じく自動車の燃料に使用されるのですが、ガソリンと軽油は全く別の物質と考えなければいけません。ちなみに、冒頭でご紹介した「ガソリンと軽油を間違ってしまう…」という人の中には「軽自動車と呼ばれるから軽油が燃料の車と考えてしまう人が多い」ようです。

軽油の特徴(引火点・沸点・分類)について

軽油は、原油を加熱して蒸留する際、沸点が「200~350℃」の原油留分を指しています。軽油の名称に関しては、重油に比べると比重が軽いということで『軽油』と名付けられたそうです。軽自動車の『軽』については、普通車と比較するとボディサイズや排気量などの規格が小さいことから『小さい=軽』という意味で軽自動車と呼ばれるようになったとされています。つまり、「燃料が軽油かどうか?」は全く関係ありませんので、セルフ給油の際などに間違えないようにしましょう。
軽油の特徴は以下の通りです。

  • 軽油の引火点が45℃以上とガソリンより高い
  • 軽油の沸点は240℃~350℃
  • 霧状になると、常温でも引火の可能性が高まる
  • 水より比重が軽い
  • 水に溶けない
  • 灯油と比較すると硫黄の含有量が多い(淡い黄色または淡い褐色)
  • 軽油は危険物第四類・第二石油類に分類される
  • 独特の臭気がある

『ガソリン』と『軽油』の違いは?

それでは、『ガソリン』と『軽油』の違いがどのようなことなのかも見ていきましょう。
まず両者共通に言えることは、どちらも水よりも比重が軽い物質となるため、万一の火災時には水で消火することが難しいということです。ガソリンや軽油の場合、消火のために水をかけたとしても、火が付いたままの液体が拡散してしまう可能性があり、余計に危険度が増してしまいます。したがって、これらの物質の消火には泡や二酸化炭素などによる窒息消火が有効とされています。

以下でガソリンと軽油の相違点をいくつかご紹介しておきます。

ガソリンと軽油で引火点・着火点が違う

引火点とは、点火源(火の元)を近づけたときに燃え始める最低温度です。 着火点(発火点)とは、点火源がなくても自ら燃え始める最低温度です。
上述したガソリンと軽油の特徴を見ればわかりますが、この二つの物質は、引火点が大きく異なります。ガソリンの引火点はマイナス40℃と非常に低く、常温でも火を近づければ着火してしまいます。しかし、軽油の引火点は45℃以上ですので、常温では火を近づけても着火しないのです。ただし、霧状の軽油となれば常温でも引火してしまいますので注意しましょう。
ちなみに点火源がなくても自ら発火してしまう着火点については、ガソリンが「300℃」なのに対し、軽油は「250℃」と軽油の方が低温になります。

保管方法が違う

保管方法に関する注意点が異なります。ガソリンは、非常に揮発性が高いため、密閉できる容器で保管することが基本です。一方、軽油に関しては、ガソリンよりも揮発性が高くありません。したがって、ガソリンの保管を考えた場合、携帯できるようにする場合でも金属製で密閉力が高い容器になっています。長期間保管する際にはドラム缶などの缶詰タイプが推奨されます。しかし、軽油に関しては、灯油の保管容器と同じくポリタンク容器で保管することができます。少量の軽油を保管する場合には、ホームセンターに行けば軽油用のポリタンクが販売されています。

危険物としての取り扱いが違う

最後は、危険物としての違いです。ガソリンも軽油も、消防法に定められている危険物で、どちらも「第四類・引火性液体」に分類されています。第四類には多くの石油製品が含まれており、第一石油類~第四石油類という分類があるのです。そしてこの分類の中でガソリンが『第一石油類』に分類され、軽油は『第二石油類』となっているのです。
この違いによって、両者を保管する際の決まりごとが変わってきます。例えば、ガソリンの指定数量が200Lに対し、軽油は1,000Lとなり、これを超える分量の保管や取り扱いを行う場合には危険物取扱者の資格が必要になるのです。

まとめ

今回は、危険物の中でも私たちの生活にも非常に身近な物質であるガソリンと軽油の基礎知識についてご紹介してきました。ガソリンと軽油に関しては、自動車の燃料として活用されていますので、皆さんの日常生活にも非常に密接していると言えるでしょう。しかし、この二つの物質の違いに関しては、詳細まで理解しているような人は非常に少ないと思います。
この記事でもご紹介したように、危険物としての取り扱いや、保管方法などが異なりますので、両者の特徴をしっかりとおさえておくようにしましょう。

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