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物流面におけるプラスチック削減対策事例を紹介

物流面におけるプラスチック削減対策事例を紹介

投稿日:2021.11.27 
更新日:2021.12.08 
お役立ち情報

今回は、物流業界ではじまっているプラスチック削減の動きについて簡単に解説します。プラスチックは、形成しやすく、軽くて丈夫、さらに密閉性が高いなど、食品の長期保存を実現し食品ロスを削減できる、製品の軽量化が目指せるなど、非常に有用性の高い素材として有名です。現在では、日常生活の中で「プラスチックに触れない日はない」と断言できるほど、様々な製品のにプラスチックが採用されていますが、特に物流業界では、非常に多くの場面でプラスチック製品が活躍しています。

しかしその一方、ほとんどすべてのプラスチックが自然に分解されないという特徴を持っていることから、廃棄物という大きな問題が浮上しています。日本国内でも、『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』が制定されるなど、現代人にとって非常に身近な存在であるプラスチックは、プラスチックごみの削減やリサイクル強化が世界中で緊急課題とされるようになっています。

そこでこの記事では、さまざまな業界の中でも、プラスチックの使用場面が多い物流業界ではじまっているプラスチック削減対策についてご紹介します。

深刻なプラスチック廃棄物問題

それではまず、日本でも『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』が制定されるなど、世界中でプラスチックごみの削減が緊急課題になっている背景を簡単にご紹介します。

私たちの日常生活の中でも非常に身近な存在となっているプラスチックですが、プラスチックが廃棄物問題を引き起こしているというイメージを持っている方は少ないかもしれません。日本では、街中に存在する自動販売機の横には高確率でペットボトルを回収するためのリサイクルボックスが設置され、使い終わったプラスチックのほとんどは「リサイクルされている」と考えている方が多いことでしょう。しかし、このイメージ自体が大きな間違いだというデータが存在します。

環境省が公表したデータによると、1950年から2016年の間に人類が生み出したプラスチックの量はなんと83億トンにも達していると言われています。そして、この間に生み出されたプラスチックに関しては、ほとんどがごみとして廃棄されたと言われています。皆さんは、「プラスチックはリサイクルされている」と考えているかもしれませんが、83億トンの内、63億トンはごみとして廃棄されており、回収されてリサイクルされているプラスチックは、なんと全体の9%程度にとどまっているのだそうです。実は、プラスチックのほとんどが埋立や焼却処理となっており、さらには海洋などへ投棄され環境中に散乱しているのが実情です。

そして、この海洋に投棄されているプラスチックが現在、地球規模の問題になっています。環境省が公表したデータによると、海に流出しているプラスチックごみは、毎年約800万トンもの量になっており、海に流出した廃プラスチックは次第に壊れていき、物理的に細かくなっていくとされています。しかし、あくまでも物質的に細かくなっているだけで、自然に分解されることはなく、直径5mm以下の微小な粒子となったプラスチックが、マイクロプラスチックと呼ばれています。
このマイクロプラスチックは、いまや「プランクトンからクジラまで」と言われるほど、あらゆる海洋生物の体内に取り込まれていることが判明しており、次にマイクロプラスチックを取り込むのは、魚を食べる人間だと言われています。

プラスチック問題は、海洋生物の命を危険に晒しているということも問題視されていますが、回り回って人間の健康に悪影響を与えるとして世界中が警鐘をならすようになっています。

参照データ:環境省特設サイト
参照データ:環境省『プラスチックを取り巻く国内外の状況』

物流業界が取り組むプラスチック削減

上述したように、プラスチック問題は、人間の健康に悪影響を与えるリスクとなっており、世界中が抱える緊急の課題と捉えられるようになっています。実際に、EU(欧州連合)などでは、2022年から「皿やコップなどへの使い捨てプラスチックの使用が完全に禁止」が決定し、非常に強い措置がとられています。

それでは、プラスチックを活用する場面が多い物流業界では、この問題に対してどのような取り組みが行われているのでしょうか?ここでは、実際に行われている取り組み事例をいくつかご紹介します。

日清食品 海洋プラスチックごみでプラスチックパレットを

カップヌードルなどで世界的に有名な日清食品グループは、環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」のもと、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に取り組んでいます。

その中でも、物流に関する取り組みの一つとして位置づけられているのが、製品の輸送や保管の際に使用するプラスチックパレットにリサイクル素材を活用するという対策です。日清の取組では、近年世界中で問題となっている海洋プラスチックごみを素材の一部として活用したパレットの使用を開始しています。

なお、日清食品グループでは、2030年までに、使用するプラスチックパレットの全数をリサイクル素材を活用したものに切り替えする計画になっているそうです。

参照:日清食品グループプレスリリースより

TREK 梱包でのプラスチックを削減

スポーツバイクメーカーとして日本でも人気の高い『TREK(トレック)』は、製品の梱包材からプラスチックを減らすという対策に取り組んでいます。

現在では、自転車も通販で購入できるようになっていますが、配送時に傷がつかないようにするためには、厳重に梱包する必要があります。そして、プラスチックは、成形しやすいという特性上、梱包材の素材として使用される事が非常に多いです。

トレックでは、従来の梱包材からプラスチック梱包材を削減し、2024年までに梱包でのプラスチック廃止を達成することを目標に掲げています。

参考:トレックプレスリリースより

明治 物流面におけるプラスチック削減を加速

乳製品メーカーとして有名な株式会社明治でも、物流面におけるプラスチック削減が目指されています。

株式会社明治では、2021年4月より、ヨーグルトや牛乳などの保管・輸送に使用しているプラスチック製物流資材(クレート)のリサイクル循環を構築、順次運輸を開始したと発表しています。この対策は、使用中に破損、劣化したクレートを提携業者に持ち込み加工後、リサイクルクレートに製造しなおし、再利用するというものになっています。株式会社明治では、これにより2030年度までに物流資材のプラスチック使用量を516トン削減できる見込みとしています。

参照:株式会社明治プレスリリース

まとめ

今回は、世界中の共通目標となっているプラスチックの削減について、物流業界で取り組まれている実際の取組事例をいくつかご紹介しました。

物流業界では、梱包材をはじめとして、輸送・保管資材など、さまざまな場面でプラスチック製品が採用されています。そして、物流に使用されるプラスチックというものは、製品が顧客の手元に届いた瞬間に「ゴミに変わる」というケースがほとんどで、この部分のプラスチックを削減することは、プラスチック削減対策全体を見た場合にも非常に有効な対策になると考えられています。

プラスチックは、物流業界では非常に使いやすい素材ではありますが、世界的な流れを考えると「どうやって削減していくのか?」という視点を持っていかなければならない時代になったと考えられるのではないでしょうか。

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