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危険物倉庫はどこに建ててもOK?意外と知らない『用途地域』の基礎知識

2019.08.19お役立ち情報

皆さんは『用途地域』という言葉はご存知でしょうか?建設業に携わっていない方であれば、あまり一般的な言葉ではないため、初めて聞いた…という方も多いかもしれません。
普段皆さんが何気なく過ごしている都市には、さまざまな用途の建物が建てられています。しかし、これらの建物が何の秩序や制限もなく建てられてしまうと、都市機能の混乱を招き、道路や下水道設備などの整備にも支障をきたす可能性があります。そのため、都市計画法及び建築基準法では、地域によって営業できる建物を制限するなど、良好な市街地環境の形成や、都市における住居、商業、工業等の適正な配置による機能的な都市活動を推進するために色々な制限をもけた用途地域指定制度が定められているのです。
この制度は住居、商業、工業等の市街地の大枠としての土地利用を定めており、工場や倉庫などの施設は、用途地域によって営業できないように制限がかかっている場合があるのです。したがって、危険物倉庫を始め、工場や倉庫の用地を探している方は、「その用途地域で危険物倉庫の営業ができるのか?」などを判断するためにも、用途地域の基本はおさえておかなければいけません。

用途地域の具体的な規制について

用途地域は、都市計画において目的別に12種類に分類され、それぞれの用途地域ごとにさまざまな規制があります。まずは、基本となる12種類の分類とその特徴をご紹介します。

用途地域 建築物の制限
第一種低層住居専用地域 低層住居の良好な環境を守るための地域です。小規模な店舗、事務所を兼ねた住宅、小中学校などは建てられます。ただし、工場や倉庫は厳しい制限が設けられている地域です。
第二種低層住居専用地域 主に低層住居の良好な環境を守るための地域です。小中学校のほか、150㎡までの一定の店舗などは建てらます。第一種低層住居専用地域に準ずる地域で、第一種低層住居専用地域より規制は緩くなります。
第一種中高層住居専用地域 低層ではなく、中高層住居の良好な環境を守るための地域です。病院、大学、ある程度の規模(500㎡まで)の一定の店舗などは建てらます。
第二種中高層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域に準ずる地域となります。病院、大学などのほか1,500㎡までの一定の店舗、事務所などは建てらます。
第一種住居地域 住居の環境を保護するための地域です。中高層住居地域よりも規制が緩くなり、3,000㎡までの中~大規模の建物(店舗・事務所・ホテルなど)の建築・営業が可能です。ただし、あくまでも『住居』の環境を保護するための地域となるので、工場や倉庫などには厳しい規制があります。
第二種住居地域 第一種住居地域に準ずる、住居の環境を守るための地域です。第一種住居地域より規制が緩く、パチンコ屋、カラオケボックスなども建築・営業が可能です。
準住居地域 道路の沿道において、自動車関連施設などの他の施設と、住居が調和した環境を保護するための地域です。住居だけが保護の対象ではないため、ある程度の規模の施設は建設可能です。ただし、工場や倉庫などの規制は厳しいです。
近隣商業地域 近隣住民が、日用品の買物などをする店舗等の業務の利便を図る事を促進する地域です。そのため、ほとんどの商業施設やホテル、オフィス、歓楽施設の建築・営業が可能です。ただし、あくまでも「日常生活や業務の利便性向上」が目的ですので、一部の工場には制限がかかります。
商業地域 近隣商業地域に準ずる地域で、銀行、映画館、飲食店、百貨店、事務所など、商業等の業務の利便の増進を図る地域です。住宅や小規模の工場も建てられますが、近隣商業地域と同様、一部の工場などには制限があります。
準工業地域 主に軽工業の工場やサービス施設の業務の利便を図る地域となります。危険性、環境悪化の可能性が大きい工場以外は、ほとんど建てらます。
工業地域 主に工業の業務の利便の増進を図る地域です。基本的に、どのような工場でも建てられます。
工業専用地域 もっぱら工業の業務の利便の増進を図る地域です。工業メインの地域ですので、どのような工場でも建てられますが、逆に住居や事務所などには制限がかかります。

具体的な制限について

用途地域の分類については上記のようになっています。それでは、用途地域ごとに定められている具体的な制限についても見ておきましょう。

  • 営業規制
    用途地域によって、営業できる職種の種類が制限されます。これにより、工場や危険物倉庫などは建てられない地域が出るのです。
  • 建物の種類
    「工場」「店舗」「住宅」など、建物の種類の制限です。㎡数や高さなどの制限も細かく定められています。
  • 建ぺい率
    『建ぺい率』は、土地に対して敷地面積をどのくらい使用して良いか?という制限です。例えば、500㎡の土地で、建ぺい率が80%の場合、400㎡のみが使用可能で、残りは避難経路などの目的で残しておかなければいけません。
  • 容積率
    容積率は、「敷地面積に対する3次元空間の割合」を算出し、制限するための基準です。容積率は「延べ床面積」がポイントになります。
  • 高さ制限(第一種・第二種低層住居専用地域)
    その言葉の通り、建物の高さを制限するものです。
  • 道路斜線制限
    接している道路の幅員にもとづいて、道路側に面した建物部分の高さを制限するものです。
  • 隣地斜線制限
    建築物の高さを制限するもので、隣地の日当たりおよび風通しを維持することが目的です。
  • 日影規制
    周囲の居住環境を保護するため、建物によって周辺にできる日影の時間を一定限度以下に制限するためのものです。

まとめ

今回は、意外と知らない『用途地域』の基礎知識として、用途地域の分類やそこに課せられる制限についてご紹介してきました。本稿を見ていただければわかるように、工場や危険物倉庫などの建設・営業を考えた場合、どこにでも自由に建設してよいわけではなく、きちんと用途地域に沿った計画を立てる必要があるのです。工場や倉庫の営業を考えた場合、「準工業地域」、「工業地域」、「工業専用地域」の3つの用途地域が営業に適していると言えるでしょう。
用途地域ごとの規制は、非常に細かく定められています。ご興味がある方は『用途地域による建築物の用途制限の概要』で確認してみてください。