危険物の取り扱いを行う場合に知っておきたい『保有空地』や『保安距離』の基礎知識
今回は、危険物の保管を行う危険物倉庫などで、絶対におさえておきたい『保有空地』の基礎知識をご紹介していきたいと ...
2019.08.16お役立ち情報
火災というものは、「いつ?どこで?」発生するかわかりません。工場や倉庫のように多くの人員が働く施設では、従業員の安全を守るために消防設備がとても大切になります。
特に工場や倉庫などで発生する火災というものは、一般住宅などと比較して、施設的な特徴が全く異なるため、より危険性が高くなると言われています。例えば、大型の設備が多く利用される工場などでは、可燃物が大量に収容されている場合もありますし、施設規模から考えると人員が少なく、死角が多く存在することなどが危険性を高くしていると言われます。こういった特徴から、工場や倉庫での火災は、発見が遅れてしまう…開口部が少ないため煙が充満してしまう…爆発的な速度で火災が広がってしまう…などといった傾向があるのです。
工場や倉庫において、上述のような火災の危険に対処するために必要なのが消防設備です。そこで本稿では、従業員が安心して働ける施設を目指すために、「消防設備とはどういった物か?」という基礎知識をご紹介します。
Contents
それではまず、消防設備の『設置義務』と『届け出』について少し触れておきます。そもそも消防設備というものは、法律によって設置することが義務付けられています。設置義務は、主に施設規模により定められており、設置後も数年毎に設備の点検を行い、消防長又は消防署長に届け出・報告を行うことが義務付けられているのです。
消防設備の設置義務については、主に施設構造と延床面積によって決められます。工場や倉庫において、「木造:700㎡」「耐火構造:1400㎡」「内装制限のある耐火構造:2100㎡」をそれぞれ超える施設の場合、「屋内消火栓設備」が設置義務対象となると決められています。また、500㎡を超える工場や倉庫では、自動火災報知設備の設置義務が課せられるなど、施設規模で消防設備の設置義務が異なりますので注意が必要でしょう。
設置している消防設備は、定期的に点検を行い、消防長又は消防署長に届け出・報告をする義務があります。工場や倉庫の場合、非特定防火対象物の扱いを受ける施設がほとんどですので、点検は3年に1回となります。点検した結果は、消防長または消防署長に提出する義務があります。なお、機器点検を6ヶ月に1回、総合点検を1年に1回する必要がありますが、こちらは報告義務がありません。
※上記の報告義務を違反すると、30万円以下の罰金又は拘留が課せられます。
それでは、従業員の安全の為おさえておきたい消防設備の基礎知識をご紹介していきましょう。工場や倉庫といった施設は、冒頭でもご紹介したように、一般の建物と比較すると、より危険性が高いと言われます。そのため、その危険に対処するためには、消防設備に関するしっかりとした知識を持っておかなければいけません。
そこでまず覚えておきたいのは、一口に消防設備といっても、大きく分けて以下の3つの種類があるということです。
以下でそれぞれの消防設備について、もう少し詳しくみていきましょう。
警報設備は、火災を自動的に知らせる設備の総称で、自動火災報知設備(漏電火災警報器含む)・ガス漏れ火災警報設備や非常警報設備(非常ベル・放送設備)などがあります。
工場や倉庫においては、延べ床面積が500㎡を超える施設で設置することが義務付けられています。
避難設備は、火災などの災害が発生した際に、建物内の人が避難するために用いる機械器具や設備の総称です。大きく分けて「避難器具」と「誘導灯・標識」に分類されます。
避難器具には、避難ロープ、すべり台、避難ばしごなどがあり、設置すべき器具の種類や設置数などは消防法で規定されます。また、「誘導灯・標識」は、非常口の位置や避難の方向を示すために設置されるもので、誰にでも容易に識別できること、遠方からでも見分けられることが必要です。
消火設備は、その言葉からも分かるように、火災が発生した際に消火するための設備となります。この消火設備は、屋内消火のためのスプリンクラーや屋内消火栓設備、屋外から消火・延焼を防ぐための屋外消火栓設備などがあります。
今回は、従業員を火災から守るために、知っておきたい消防設備の基礎知識についてご紹介しました。工場や倉庫などの施設では、可燃物が大量に収容されていたり、一般の建物と比較して出入り口や開口部が少ない、施設規模に対して人員が不足し死角が増えてしまうなどといった理由で、火災の危険性が高くなると言われています。そのため、安全に業務を遂行させることを考えた場合、各種消防設備の導入は必要不可欠といえるでしょう。
もちろん、消防法などでも消防設備の設置が義務付けられているため、消防設備を全く無視しているような施設はないと思います。しかし、工場や倉庫では、取扱製品によって通常の消火設備では意味がない場合もありますし、施設の特長をよく考えて消防設備として何を設置するのかを考えなければいけません。