失敗しないための危険物倉庫建設準備と流れ
投稿日:2024.10.04 お役立ち情報
危険物を適切に保管・管理するための危険物倉庫のニーズが高まっています。ただ、危険物倉庫の建設にあたっては、さまざまな法令を順守しなければならないことや厳しい条件を満たさなければならないなど、求められることが多く建設の難易度が高いことから、危険物倉庫の建設に踏み切れない事業者も少なくないと言われています。
そこで当記事では、危険物倉庫の建設に失敗しないために、関わる法律や実際の危険物倉庫建設プロジェクトがどのような流れで進むのかを解説します。
Contents
そもそも危険物倉庫とは?
危険物倉庫とは、その名称から分かるように「危険物」の保管や管理に特化した施設のことを指します。こちらの記事でも詳しく解説しています。
危険物倉庫とは?建設する際の基準と押さえておくべき法令をご紹介
危険物倉庫で保管できる危険物とは、消防法で定められた「通常の状態で保管・放置すると、引火性・発火性があり、火災や爆発、中毒などの災害につながる危険がある物質」を指します。具体的には、酸化性固体、可燃性固体、自然発火性物質、引火性液体、自己反応性物質、酸化性液体などが危険物に指定されていて、私たちの身近にある物質では、ガソリンや灯油、アルコール消毒液などが該当します。火災リスクの高い物質を対象としていることが危険物倉庫の特徴と言えます。
危険物倉庫は、保管する物質の特性上、非常に厳格な安全基準に則って管理・運営されることになります。適切な保管と管理が行われなければ、火災事故の危険性が高まるだけでなく、広範囲への被害の拡大が予想されるため、危険物倉庫の事業者は、法令の順守や適切な危険物倉庫の設置・運用が求められます。
危険物を取り扱う施設の種類
危険物倉庫は、先ほどご紹介したように、消防法で定められた危険物の保管・管理を担う専用施設です。ただ、危険物を取り扱う施設は、その用途に応じて「製造所」「貯蔵所」「取扱所」の3種類に分けられています。それぞれの施設の特徴は以下のようになっています。
- 製造所:工場のように危険物を製造する施設です。建物の構造や設備、配管などが消防法で厳しく規制されていて、可燃性ガスや粉塵の除去施設も規制対象となります。
- 貯蔵所:危険物を安全に保管するための施設です。なお、貯蔵所にも屋内外タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所など、さまざまな形態があります。一般に”危険物倉庫”と呼ばれる施設は、屋内貯蔵所を指しています。
- 取扱所:危険物の製造には携わらず、小さい指定倍数で危険物を取り扱う施設です。例えば、ガソリンスタンドやボイラー室などが該当します。
危険物を取り扱うことができる施設は、上記の3種類に分けられています。この中で、危険物倉庫と呼ばれる施設は『貯蔵所』に該当します。
危険物倉庫の建設に関わる法律などについて
ここでは危険物倉庫の建設プロジェクトに関係する代表的な法律をご紹介します。
- 消防法
上述したように、危険物倉庫で保管・管理する危険物は消防法で定められています。この他にも、指定数量以上の危険物の貯蔵及び取扱いの制限などについて消防法で定められています。なお、消防法は、危険物に対する大まかな規定を定めていて、細かな部分について「危険物の規制に関する政令」で規定されるほか、指定数量未満の危険物の貯蔵・取り扱いについては市町村の条例(火災予防条例など)などで制限が設けられています。 - 都市計画法
都市計画法は、都市計画に必要な事項を定めている法律です。具体的には「都市計画」「都市計画制限等」「都市計画事業」「都市施設等設備協定」などがあり、危険物倉庫は「都市計画」「都市計画制限等」により、倉庫を建設できる区域が規制されています。特に、用途地域に注意が必要で、用途地域によっては危険物倉庫が建てられない場合があります。 - 建築基準法
建築基準法は、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、誰もが安全に暮らすことができるようにするため、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めた法律です。危険物倉庫に関しても、面積・高さ・建蔽率・容積率・保安空地など、さまざまな規制が定められています。 - 港湾法
この法律は、臨港地区や臨港地区内の土地利用に関する区分(商港区、工業工区等)を規定しています。港湾法は、危険物に関する内容も含まれているため、危険物倉庫の建設時には確認が必要です。
危険物倉庫の建設では、上記のようなさまざまな法律が関わってきます。特に「危険物貯蔵所設置許可申請」に関しては、法の解釈や構造・設備基準の詳細については消防との丁寧な協議が必須となります。RiSOKOが提案する危険物倉庫の建設ポイント
危険物倉庫建設の流れ
危険物倉庫を建設する時の流れについても詳しく解説します。他の建設と同様に建築基準法上の確認申請はもちろん、危険物倉庫は、引火性や爆発性の高い「危険物」を保管する施設であることから、建設時には消防との協議が不可欠など、一般的な倉庫とは異なる手順が求められます。
以下に、危険物倉庫ならではの協議・許可申請(危険物貯蔵所設置許可申請)について大まかな流れをいくつかのポイントに分けてご紹介します。
STEP1 消防署との事前協議
危険物倉庫の建設する場合、まず最寄りの消防署との事前協議が必要になります。
事前協議では、施設の設計内容や消防設備の詳細について話し合うほか、安全規制や指針の理解が求められます。消防署との協議内容については、きちんと議事録を作成して保管しておかなければいけません。
消防署との事前協議は、危険物倉庫に適切な安全対策を講じるための第一歩となります。専門家の意見を聞き、それを取り入れながら計画を進めることで、万全な準備ができスムーズに建設計画を進めることができるようになります。
STEP2 危険物倉庫の設置許可申請
STEP1の協議を経て着工までに「危険物貯蔵所設置許可申請」が必要となります。窓口は事前協議先と同様に所轄の消防署ですが許可申請の宛先は当該市区町村長等宛となります。。
この許可申請には貯蔵する危険物の類、品名や最大数量の資料も必要となりますが、申請段階では明確となっていないケースも多くあり、そういった際は想定資料で申請を行い、確定次第資料を差替えるなどの手順が必要となります。
STEP3 設置許可証発行後、建設の着工
市区町村より設置許可証が無事発行されたら、いよいよ危険物倉庫の着工となります。設計図や安全規則に基づき、万全の体制で建設計画が進みます。
建築とは別に発注している保管用のラックなども申請対象となります。ラックなどは着工後に詳細が決定するケースもあるため、都度消防と協議を行い必要に応じて変更申請を実施します。
STEP4 完成検査申請・完成検査
建物の完成に伴い完成検査を受検するために検査を受検する2日から7日前までに所轄の消防署へ完成検査の申請が必要となります。
検査にあたっては、当初の許可申請からの変更等が発生している書類は全て差し替えが必要となり、また、ラックのような別途工事も検査対象となるため検査の受検は対象工事の全てが完了している必要があります。
完成検査は、危険物倉庫が安全基準に適合しているかを確認するための最終段階でもあります。
STEP5 完成検査済証を受領し、倉庫の運営開始
STEP6の完成検査に合格すると、完成検査済証が交付されます。完成検査済証が交付されれば、危険物倉庫の運用が開始できます。
完成検査済証は、倉庫が安全基準を満たしていて、合法的な運用許可を得たことを示すものです。
まとめ
今回は、危険物倉庫について、その基礎知識や危険物倉庫の建設時におさえておくべきポイントについて解説しました。
危険物倉庫の建設時には、多岐にわたる届出・手続きやさまざまな法律への適合が必要とされています。取り扱う危険物の種類や周辺環境に応じて、法令で定められた基準に従い、規模や構造、機能などを決定する必要があります。危険物倉庫の建設には、専門知識と豊富な施工実績を持つ建設会社との協力が必要不可欠だと考えてください。
危険物倉庫建設は、建築基準法のみならず消防法に遵守した無駄のないスペックを提案するRiSOKOへご相談ください。
危険物倉庫の建設事例はこちら
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