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貸倉庫で危険物を保管するために知っておくべき基準

貸倉庫で危険物を保管するために知っておくべき基準

投稿日:2022.07.15 
更新日:2024.03.21 
お役立ち情報

今回は、消防法によって定められている危険物の保管について、危険物倉庫を賃貸する際に知っておかなければならない、危険物倉庫の各種基準について解説していきます。

危険物は、消防法によって定められており、日本における危険物とは、通常の状態で保管・放置しておくと、引火性・発火性があり、火災や爆発、中毒などの災害につながる危険がある物質のことを指しています。そして、これらの危険物を保管する際には、建物の構造や基準などが厳しく定められています。

この記事では、貸倉庫などで「危険物」を保管する際の注意点や施設の基準について簡単に解説しておきます。

危険物を取り扱う施設について

それではまず、危険物を取り扱う施設の種類について簡単に解説します。危険物と聞くと、毒物や劇物をイメージする方が多いかもしれませんが、日本における危険物は、消防法で定められている「普通の状態で保存・放置すると引火や、爆発、中毒を引き起こす恐れのあるもの」を指しています。そして、これらの危険物を保管するための施設が、危険物倉庫などと呼ばれるのですが、消防法では危険物を取り扱うことができる施設を大きく以下の3つに分けています。

  • 製造所・・・危険物を製造するための施設
  • 貯蔵所・・・大きな指定倍数で危険物を取り扱う施設
  • 取扱所・・・危険物を小さい指定倍数で扱う施設(ガソリンスタンドなど)
    ※ガソリンスタンドは「給油取扱所」、危険物を販売する施設は「販売取扱所」、危険物を送るパイプラインなどは「移送取扱所」と呼ばれます。

危険物を取り扱う施設は、上記のように分類されており、この中でも危険物倉庫は『貯蔵所』にあたります。なお、危険物を取り扱う危険物倉庫は、法律に沿って施設の構造や設備を整え、人員の配置などを整備する必要があると定められています。さらに、決められた機関に申請して各種許可を得なければならないと定められています。

わずかな量の危険物なら通常の倉庫でも保管できる?

上述のように、消防法で定められた危険物について、さまざまな面で非常に厳しい基準が設けられていることから、消防法や市町村の条例などを想定していない一般的な倉庫では、大量の危険物を保管することはできません。実際に、消防法での危険物の扱いについては、消防法第十条により以下のように定められています。

指定数量以上の危険物は、貯蔵所(車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(以下「移動タンク貯蔵所」という。)を含む。以下同じ。)以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱つてはならない
引用:e-Gov|消防法

ただ、ここで気になるのが「指定数量以上の危険物」という文言です。どういうことかというと、一般家庭や、小規模な工場などでも、危険物に該当する物質を貯蔵しているケースは珍しくありません。例えば、北海道や東北地方などであれば、石油ファンヒーターの燃料となる灯油などを常に自宅の倉庫などに保管していると考えられます。また、大型機械を使用する工場であれば、ガソリンや軽油を保管している場合も考えられるでしょう。それでは、このように、少量の危険物を保管する場合、一般家庭などであってもわざわざ消防署などに行って許可をとらないといけないものなのでしょうか?

実は、危険物を保管する場合でも、「指定数量の5分の1未満」であれば、一般の倉庫などでも扱うことができると定められており、一般家庭などが保管できるわけです。なお、危険物の指定数量は、品目によって異なるので注意してください。

危険物倉庫の基準を確認

危険物倉庫の賃貸を検討している場合、消防法で定められた建設基準を遵守しているのかをきちんと確認しておかなければいけません。上述したように、指定数量以上の危険物を保管する場合、定められた制約に沿った施設の設備を整えていることや、適切な人員の整備が求められます。ここでは、危険物の保管のため、危険物倉庫を賃貸する際に確認すべき建物の設備基準などをご紹介します。

位置の基準

まずは危険物倉庫の位置の基準からです。危険物倉庫は、以下の条件を守らなければならないと定められています。

  • 近隣に「保安対象物(学校や病院など)」があれば、施設に応じた保安距離を確保しなければならない
  • 施設の構造や、危険物の貯蔵量(指定数量倍数)に応じて、保有空地を確保しなければならない

なお、保有空地に関する幅の基準は、以下のように定められています。


引用:総務省消防庁資料より

構造の基準

危険物倉庫は、法律に沿った建物を作らなければいけません。ここでは、危険物倉庫に求められるさまざまな基準をご紹介しておきます。

  • 軒高は6メートル未満で、平屋であること
  • 床面積は1,000㎡以下であること
  • 屋根には、軽量金属板など、不燃材料を使用し、基本的に天井を設けてはならない
  • 壁・柱・床は耐火構造であること
  • 窓や出入り口は、防火対策を行い、ガラスは網入りガラスを採用すること
  • 必要な明るさや採光を確保すること
  • 指定数量が10倍以上になる場合、避雷設備を設けること
  • 引火点70℃未満の危険物を貯蔵する場合は、蒸気排出設備を設ける。 など

関連記事:危険物倉庫の換気設備について

なお、危険物倉庫に求められる基準について、各自治体ごとに細かく条例などで指定されているケースもあるので、チェックしておきましょう。

まとめ

今回は、危険物の保管のため、貸倉庫を探している方に向け、危険物を保管するための施設に求められる基準について解説してきました。

この記事でご紹介したように、消防法で定められている危険物については、保管に関する非常に厳しい条件がいくつも定められています。
危険物を保管するための倉庫を探している場合、まずは「どのような条件の施設を探さなければならないのか?」を調べることからスタートしなければならないと考えておきましょう。
なお、危険物倉庫に求められる条件などについては、各自治体ごとに微妙に異なる場合があるので注意しましょう。

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