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物流倉庫自動化のメリットと導入前に確認したいポイント

物流倉庫自動化のメリットと導入前に確認したいポイント

投稿日:2023.01.26 
更新日:2023.02.08 
お役立ち情報

近年、物流施設の自動化が急速に進んでいます。これは大規模な物流施設だけでなく、中小規模の倉庫などでも生産性向上や業務の効率化、人手不足の解消などを目的としてロボットなどの最新テクノロジーの導入が進んでいます。

そこで当記事では、物流業界で急速に進む倉庫の自動化について、物流倉庫にロボットなどを導入して自動化することでどのようなメリットが得られるのか、また実際に自動化を目指す時に注意しておきたいポイントについて解説します。

昨今の物流業界では、働き方改革関連法の施行に伴う「時間外労働時間の上限規制」などがトラックドライバーにも適用される『2024年問題』が取りざたされていますが、倉庫内作業員の人手不足問題も喫緊の課題となっています。ここでは、物流倉庫自動化に寄与するテクノロジーもご紹介しますので、ぜひ最後までご参照ください。

参照:第1回 持続可能な物流の実現に向けた検討会

 

物流施設自動化のメリットとは?

「物流倉庫の自動化」とは、倉庫内業務の一部または全部をロボットやITシステムに置き換えることで自動化することを指しています。倉庫の自動化は、主に倉庫内作業の効率化や生産性向上、省人化などを図ることが目的となっています。

ここ数年、物流業界では人手不足が原因となる企業倒産が増加傾向にあるというデータが存在します。物流施設の自動化は、こうした問題を解決するための一つの手段ともなり、人手が少なくても生産性を維持するために、多くの物流企業が倉庫の自動化を目指す動きが拡大しています。ここではまず、物流施設を自動化することで得られるメリットをご紹介します。

参照:人手不足倒産/道路貨物運送が全業種で累計トップ

メリット① 生産性の向上

ロボットなどによる自動化の大きなメリットは、倉庫内作業の生産性向上が目指せる点です。ITシステムやロボットは、人間のように休憩など必要とせず、24時間365日体制で働き続けることができます。人手による作業の場合、休憩や業務交代、未熟な作業者による作業スピードの低下、疲れによるミスの増加など、生産性を低下させる要因がさまざまあります。しかしシステムやロボットの場合、休憩などを必要とせず常に稼働することができますので、生産性の向上が見込めます。

更に、冷凍倉庫などの過酷環境下での作業でも、それに見合ったシステムを導入することで、作業の安全性を確保したうえで安定的な生産性を維持できる点も大きな魅力です。

メリット② 人的コストの削減(人材不足の解消)

倉庫の自動化とは「倉庫内業務の一部または全部をロボットやITシステムに置き換える」ことです。つまり、自動化を進めることができれば、人手を必要とする作業を減らすことになりますので、倉庫を運営するために必要になる人材が少なくなり人件費の削減が実現できます。導入するシステムによっては、繁忙期に合わせて臨時スタッフの雇用を増やすといったことも少なくなりますので、採用コストなども削減可能です。

倉庫の自動化は、システムやロボットの導入・メンテナンスにコストがかかる点を気にする方が多いのですが、人間の手によって作業を行う場合、採用活動のためのコスト、従業員の給与、教育などにもコストがかかりますので、中長期的に見ると自動化する方がコストが抑えられる傾向にあります。

なお、倉庫自動化は、必要とする人材が少なくなるわけですので、物流業界の人手不足解消にも一役買ってくれるでしょう。

メリット③ サービス品質の安定化

人手による作業は、どれだけ注意深く行ったとしてもヒューマンエラーリスクを避けることができません。例えば、商品の色やサイズを間違えるなど、間違った商品を梱包するピッキングミスなどによるクレームを受けた施設は少なくないと思います。

これが、ITシステムやロボットを導入することで、エラーを防いだり、エラーが発生した時にいち早く発見してカバーできるような体制を作れるのが自動化のメリットです。つまり、倉庫作業のサービス品質を高レベルで安定させることができるということです。

この他にも、温度・湿度管理がなされている倉庫であれば、人による作業を自動化することで、施設への出入りを減らすことができ、温度・湿度変化による商品劣化リスクを低減することができ、商品の品質をも安定させることができるというメリットが考えられます。

物流施設自動化の注意点

物流施設の自動化には、上記のようなさまざまなメリットが考えられます。ただ、実際に倉庫の自動化を進めようと考えた時には、いくつかの注意点があります。

①導入コストについて

ロボットや機械など、自動化を実現するためのシステムには、多額の初期コストがかかります。どの部分の作業を自動化するのかによって必要なロボット・機械が変わりますので、導入にかかるコストもそれぞれです。しかし、汎用性の高い自動化システムやロボットになると、初期コストで数千万円以上かかってしまうケースも珍しくありません。さらに、これらの機械は、導入すれば終わりなのではなく、定期的なメンテナンスや故障時の修理など、ランニングコストもかかります。

倉庫の自動化を目指すときには、「自動化することで削減できるコストがいくらなのか?」ということを明確にして、かけるコストがきちんと回収できるのか検討する必要があります。

②業務フローの変更について

倉庫の自動化を進める時には、自動化後の業務フローを新たに構築することになり、余剰人員の再配置や、組織体制の大幅な変更が必要になることもあります。新たな業務フローの構築は、通常業務と並行して行うことが多く、使い慣れていないシステムの導入も同時に進めなければならないことから、自動化直後は一次的に業務効率が悪化する恐れがあります。

こういったことから、倉庫の自動化を進める時には、通常業務と並行しながらどのようにしてスムーズに新たな業務フローに移行するのかを検討しましょう。なお、システムを導入するためには、一時的に稼動を止めなければならないシステムもあります。その場合は、稼働を止めてまで導入するメリットが本当にあるのかも慎重に検討しましょう。

③倉庫内の設備や環境について

ロボットや機械などを新たに導入する場合や入れ替えを行う場合に見落としがちなのが、倉庫自体の状態です。

例えば、床がコンクリートの場合は、クラックがあるとロボットや機器の移動に支障が出る場合も考えられます。

また、最新機器の導入にあたって収益性をより向上させるために倉庫増築を行う場合や、空いたスペースを有効に活用するためにこれまでなかった冷蔵設備を導入するなど、同時に検討することでスムーズに倉庫自動化を進めることができます。

 

倉庫自動化に寄与するシステム

それでは最後に、物流倉庫などの自動化に寄与するシステムをいくつかピックアップします。

①自動搬送ロボット

物流施設の自動化を実現するシステムとして最も有名だと考えられるのがamazonなどの大規模倉庫で活躍している自動搬送ロボットです。自動搬送ロボットにもいくつかの種類があるのですが、代表的なものは、ピッキング作業者の元まで対象商品が保管されている保管棚を運んできてくれるロボットです。なお、自動搬送ロボットは、走行形態によって以下のように分類されます。

  • 無人搬送ロボット:AGV(Automatic Guided Vehicle)
    AGVは「Automatic Guided Vehicle」の頭文字をとった略語です。名称に「Guided」の言葉が入っているように、このロボットは走行のために磁気テープなどの誘導体が必要です。したがって、このロボットを自動化のために導入する場合、倉庫内のレイアウトを整備し、誘導体を設置する工事を行わなければいけません。なお、決められた走行ルートに従って動作するロボットですので、ルート上に障害物が配置されると回避できずに動作が停止します。
  • 自律走行搬送ロボット:AMR(Autonomous Mobile Robot)
    AMRは、「自律走行」搬送ロボットと訳されるように、周囲の状況をロボットが認識して、自主的に走行ルートを決め動作するようになっています。常に360度をスキャンしながら走行しますので、柱や荷物などの障害物があっても、自分で回避行動を行います。このタイプのロボットは、誘導体の設置工事が必要ありませんので、導入のしやすさから多くの企業で取り入れられるようになっています。
  • 棚搬送型ロボット:GTP(Goods To Person)
    これが上述したamazonの物流倉庫などで採用されている搬送ロボットです。このロボットは、ピッキング作業者のもとに、対象の商品が入った棚ごと運ばれてくるシステムになっています。倉庫の自動化のためにこのロボットを導入する場合、ピッキング用のワーキングステーションの確保、ロボットが持ち上げられる専用棚の導入が必要です。

自動搬送ロボットに関しては以前別の記事でもご紹介していますので、そちらもご参照ください。

関連記事:『AGV(無人搬送車)』の進化が止まらない!従来のAGVとどう変わってきたのか?

②自動倉庫システム

これは、倉庫そのものを自動化するシステムです。立体駐車場のような構造になっていて、人の手ではとても届かないエリアまで保管棚を密に並べることが出来ます。ピッキングも、棚上部をロボットが動き回るようなシステムになっていて、人が行き来するための通路を必要としないことから、倉庫スペースをフル活用でき、保管効率が非常に高くなるという点がメリットです。

ただし、自動倉庫システムの唯一で最大の欠点が、このシステムを導入するために莫大なコストがかかってしまうという点です。自動倉庫システムの導入には、億単位のコストがかかりますので、それを回収するほどの物流量がない規模の倉庫では、採用されることは無いでしょう。

まとめ

今回は、物流施設の自動化について、倉庫を自動化することのメリットやシステム導入前に検討するべきポイントをご紹介しました。

少子高齢化が進む日本では、さまざまな業界で人手不足が問題視されていますが、特に物流業界では『人手不足』が原因となる企業倒産が急増しているなど、本当に深刻な状況になっています。

物流業界での人手不足を解消するための対策には、女性や外国人労働者の積極採用などと言った方法も検討されていますが、物流倉庫などでは倉庫内作業の自動化によって「必要とする人数を減らす」という方法も注目されています。倉庫の自動化には多額のコストがかかるという懸念がありますが、中長期的に見ると、人件費や新人教育にかかるコストなどが削減できるという点から、自動化したほうがコスト削減につながる傾向が高いとも言われています。

もちろん、取扱商品や施設規模などによって導入すべきシステムが変わりますので、自社倉庫の自動化を進める場合はシステムの専門家に、それにとのなう倉庫の増築や修繕が必要な場合は特殊倉庫建設の専門家であるRiSOKOに是非ご相談ください。

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