物流倉庫・物流センターの建設計画でおさえておきたい4つのステップと注意点!

物流倉庫・物流センターの建設計画でおさえておきたい4つのステップと注意点!

投稿日:2019.11.09 
更新日:2025.09.12 
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一般企業において、新しく物流倉庫建設計画が立ち上がり、その担当者として任命された場合には「どういった事に注意すべきか?」「どういう手順で進めるものなのか?」ということに悩む方も多いことだと思います。例えば、企業の物流部門の責任者の方であっても、日常業務として行っているのは、自社の物流業務の管理がメインとなるわけですので、新倉庫建設計画のようなプロジェクトを経験したことすらない…という方が大多数です。頻繁に物流倉庫の立ち上げを行っている場合には、その手順がパターン化されており、スムーズに進めることもできるようになるのでしょうが、通常の企業であれば、プロジェクトメンバー全てが初体験の業務…ということも珍しくありません。
そこでこの記事では、新物流倉庫建設計画が立ち上がった際、どういった事を考えなければならないのか?また、各手順でどういったことに注意しておけば良いのかについて簡単にご紹介していきたいと思います。当然、建設する倉庫の規模や取り扱う物品によって、注意しなければいけないことは以下に紹介することに限らないので、あくまでも一般的な例として、参考にしてください。
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物流倉庫と物流センターについて

物流倉庫とは商品の保管に特化した施設のことです。従来の倉庫が主に物品の保管を目的としていましたが、物流倉庫はそれに加えて在庫管理、発送業務、商品の梱包・発送など、多岐にわたる物流機能を提供しています。

物流センターは商品の受け入れから発送までの一連の内部業務を総合的に管理する役割を持っています。製品が仕入先から到着した後は、注文が入るまで保管し、注文が確認されたらピッキング作業を行い、流通加工を施し、品質を検査した後に梱包し、出荷します。このように、始めから終わりまでのプロセスを効率的に処理できることが大きな強みです。さらに、大量の荷物を扱うため、物流センターには多数の出入り口が設けられていることが一般的です。

物流倉庫・物流センター建設における注意点と設計時に重要なポイントを解説

それでは、物流倉庫・物流センター建設計画が立ち上がった場合、各ステップで注意しておきたいポイントについて簡単にご紹介しておきます。ここでは、大まかにステップを分類し筆者がここはおさえておきたいと考えるポイントについてご紹介します。

ステップ1:基本計画を立てる

まずは物流倉庫を設立するためのコンセプトや基本的な設計与件を決定します。この時点でプロジェクトメンバーの選定も必要になるでしょう。

基本計画での注意点

  • コンセプトと倉庫機能を明確にする
    倉庫建設の目的や主機能を明確にします。これは、倉庫建設計画が立ち上がった時点で必然的に存在しているのですが、既存倉庫との相違点や新倉庫の目標値などを明確にし、それを担当者間で共通認識にしておくことが重要です。
  • 必要なスペースを算出
    物流倉庫・物流センター内で必要なエリアを、入荷、在庫、物流加工、仕分け、出荷待機などの大まかなカテゴリに分類します。そして、これらの分類ごとに必要なスペースを計算していきます。例えば、在庫スペースは商品のカテゴリーや梱包の形態(ケースや個別商品)、リザーブエリアとピッキングエリアなど、それぞれ毎に算出されます。
  • 倉庫キャパシティの設定
    新たに建設する倉庫の出荷件数や在庫物量など、倉庫キャパシティの設定が必要になります。万一、キャパシティオーバーした場合の対応策なども詰めておく必要があるでしょう。
  • 目標値などの設定
    顧客サービスやリードタイムなどの目標値の設定を行います。目標値に関しては、自社の都合のみで考えるのではなく、他社との競争や業界の特性を踏まえた上で設定する必要があります。

ステップ2:立地の検討

新倉庫建設にふさわしい立地を絞り込む必要があります。地域の絞り込みは以下の点に注意しましょう。

立地検討での注意点

  • 交通アクセス条件
    物流倉庫は交通アクセス条件が重要です。高速のIC、空港、港湾など、交通アクセス拠点との距離などをチェックする必要があります。
  • 用地条件
    建築基準法や消防法、用途など、物流倉庫の建設ができる用地を探す必要があります。
  • 他の物流拠点との関係
    自社の物流拠点が複数になる場合、各拠点の配送地域や配送先数を考慮する必要があります。
  • 人員確保、作業員の通勤条件
    倉庫内作業員の確保のしやすさも重要です。

ステップ3:ブロックレイアウト

新たに建設する倉庫において、商品分類や荷姿(ケース、バラ、パレット等)、カテゴリーなどの設計基礎データを確定し、倉庫の基本的な運用が決まれば、倉庫のブロックレイアウトを考えなければいけません。

ブロックレイアウトでの注意点

  • 各スペースについて
    物流倉庫の場合、入荷、荷捌き、在庫、仕分け、出荷待機など、各作業のためのスペースが必要になります。したがって、倉庫内で各作業ごとに必要になるスペースを算出する必要があるでしょう。既存物流倉庫が他にあるのであれば、その数値が最も参考になるでしょう。
  • 入出荷バースについて
    入荷バース数とトラックサイズ、出荷バース数とトラックサイズを決めなければいけません。この部分は配送スケジュールなどにも絡んでくるでしょう。
  • 倉庫内で使用する大型機器について
    自動倉庫システムの導入などであれば、機器そのものの設置に大きなスペースが必要になります。したがって設置スペースと作業スペースの算出は必要不可欠です。
  • ブロックレイアウト図の作成
    上記をもとにブロックレイアウト図を数パターン作成します。

ステップ4:導入する物流システムについて

倉庫規模や取り扱い製品によって、導入する物流システムを考えなければいけません。

物流システムの注意点

  • 既存システムを活用する場合
    別拠点などで、既存物流システムを利用している場合、現在の保有システムを活用できるか検討する必要があるでしょう。活用する場合、そのシステムをベースに、新たな倉庫のためのカスタマイズを考えましょう。
  • 新たに物流システムを導入する場合
    この場合、システムの仕様、設計、開発、導入までにそれなりの時間がかかります。倉庫建設に間に合うようにシステム開発の打ち合わせをしていきましょう。

物流センター設計時に重要な業務フロー・レイアウト連動

物流センターの設計では、建物や設備の配置だけでなく、入荷から出荷までの業務フローと連動したレイアウトを考えることが重要です。動線が複雑になると作業効率が低下し、人員や時間のロスにつながります。
例えば「I字型」や「U字型」の流れを意識した配置にすることで、無駄な移動を最小化し、各工程がスムーズに連携できます。設計段階から業務プロセスを反映させることで、センター全体の生産性向上が実現できます。

ABC分析による在庫配置と動線最適化

保管効率を高めるためには、在庫を出荷頻度に応じて分類する「ABC分析」の活用が有効です。
出荷頻度の高いAランク商品は入出庫口の近くに配置することで、移動距離を短縮し、作業効率を向上できます。反対に出荷頻度が低いCランク商品は奥のスペースに配置することで、限られた面積を有効活用できます。
このように、在庫の特性に応じた配置を行うことで、動線の最適化と作業スピードの向上を同時に実現できます。

将来の変動に対応するフレキシブル設計

物流量や取扱商品の種類は、年々変化していきます。そのため、物流センターの設計段階から、将来的な拡張やレイアウト変更に対応できる柔軟性を持たせることが重要です。
例えば、スペースに余裕を残しておく、可動式ラックを導入するなどの工夫をすることで、需要の変動や新しい業務への対応がしやすくなります。将来を見据えたフレキシブルな設計が、持続的に活用できる物流センターの実現につながります。

ラック選定と通路幅の最適化

物流センターの保管能力と安全性を左右するのが、ラックの種類と通路幅の設計です。
パレットラックや高層ラックなど、取り扱う荷物の特性や搬送機器に合わせた選定を行う必要があります。さらに、通路幅はフォークリフトや台車が安全に通行できる寸法を確保しなければなりません。
効率的な保管と安全な作業環境を両立させるには、ラックと通路のバランスを考慮した設計が欠かせません。

業務フロー・要員計画・レイアウトを踏まえた設計

物流センターの設計は、単に建物の間取りを考えるだけでは不十分です。実際の業務フロー、人員配置、必要な作業工数を踏まえてレイアウトを検討することが大切です。
例えば、出荷量に応じた作業者数や、ピーク時に必要となる動線の広さを事前に試算しておくことで、無理のない運用が可能になります。業務、要員、レイアウトを一体的に検討することで、長期的に安定したセンター運営につながります。

検品精度と誤出荷防止のためのIT導入

物流センターの現場では、誤出荷防止が最も重要な課題のひとつです。そのためには、バーコードやハンディターミナルを活用したITシステムの導入が効果的です。
目視確認に頼らず、システムによるチェックを取り入れることで、検品精度を大幅に高めることができます。また、リアルタイムで在庫情報を管理することで、欠品や誤配送のリスクを減らすことも可能です。IT導入は作業効率の向上と品質確保の両立に欠かせないポイントです。

物流倉庫・物流センターの施工事例

まとめ

今回は、新たに物流倉庫建設プロジェクトが立ち上がった場合に注意しておきたいポイントについてご紹介しました。本稿では、建設会社など、専門業者に依頼する以前に、自社のプロジェクトメンバーで最低限おさえておかなければいけないポイントを中心にご紹介しました。もちろん、上記でご紹介した内容以外にも多くの注意ポイントが存在していると考えておかなければいけません。

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実際に建設計画を進めていく場合には、専門業者のアドバイスも受けることになりますが、上述したような自社内でのコンセプトや最低限の基本計画が無ければ、打ち合わせに時間ばかりを取られて、スムーズにプロジェクトが進まなくなってしまう恐れもあるでしょう。「専門業者が何もかも導けば良いのでは?」と思うかもしれませんが、自社に最適な施設を建設しようと思う場合には、「なぜそれが必要なのか?」をきちんと明確にしておかなければ、アドバイスのしようがない場合もあるのです。

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